未来の日用品で女性のライフスタイルをアップデート
- 編集長 / プロデューサー
- 半澤絵里奈
7月28日、東京・乃木坂に”未来の日用品”をキュレーション販売するショップ『NEW STAND TOKYO』がオープンした。
このショップでは、これまでのスタンダードを覆すNEWなアイデアや体験の詰まったNew Standardになると言えるアイテムを中心に商品が選定されているが、なかでもfermataが厳選したFemtech(フェムテック)商品にぜひ注目して頂きたい。
日本の女性が、もっと自分の身体と向き合うために
fermataの共同創設者の2人とはこれまで何度も、女性の身体に関する主体的なセルフマネジメントについて議論を重ねてきた。そのたびに、必ず話題に上がるのは、女性のカラダの話をオープンにすることのタブーや選択肢の少なさだった。読者の方も思い起こせば、身体の変化についてオープンに相談し合える仲間を見つけるのに時間がかかったのではないだろうか、または今も1人だけで向き合っているのではないだろうか。
誰かと“恥ずかしがらずに性の話をする“ということを、どうやって一般的なことにするか。
働く女性が増え、婦人科に通う時間が限られるなかでセルフケアの質をどう向上させるか。
海外での暮らしが長い2人は、時にその経験とも比較しながら、日本国内で女性のヘルスケアについてリサーチを深め、「日本の女性にももっと自分と向き合う大切さや選択肢の多様性を」という思想に辿りついていた。これまで会社を立ち上げ、Femtech市場のカオスマップを作成し、多くのイベントでこの社会課題やソリューションを訴えてきていた。
ライフスタイルのアップデートを狙ったショップ展開
そして、ついに今回、ショップを構えるという実験をスタートした。
店頭に並べられているのは、生理ショーツ、月経カップ、バイブレーター、妊活や妊娠期・産後をサポートするプロダクトの数々だ。その多くは、韓国やアメリカをはじめとする海外から直接輸入しているものだ。そして、すべてのプロダクトには、開発者が何を解決したくてつくったものなのか?という紹介が掲げられている。
例えば、”Dame products”というバイブレーターの場合はこう。
「男女での性体験におけるギャップを埋めることをミッションとしています」
或いは、”seem”という精子セルフチェックアプリ&キットの場合はこう。
「ふたりの妊活を当たり前に。Seemは、妊活における男性の不在を解決したい」
ここに並べられている商品は、趣味趣向に凝ったものではない。本気で人々のライフスタイルや価値観をアップデートしようとしているものだ。だからこそ、オンラインではなく、リアルなショップを展開し、未来の日用品として棚に並べる意味は大きい。店内は白を基調としたおしゃれな内装で、アパレルや文房具も扱う。1人で来ても、友達や家族と来ても恥ずかしがらずに商品を手に取れる空間になっている。
私たちの選択肢はもう広がっている
私が取材をしている間にも性別を問わず多くの人が訪れ、商品を手に取り、それがどういったものであるのか説明を求める姿を多く見た。その中には、オープンのニュースを見て楽しみに来た人もいれば、六本木でのショッピングの帰り道、ランニング中に気になって来店した人もいた。
商品を手に取った人たちから聞こえてくるのは「これが欲しい」「私はこっち派」「娘に買ってあげたいと思っている」というような選択肢の幅が広がっていく会話だ。
生理ショーツはすでに4メーカー7種類の商品が販売されている。オーガニック生地や、薄手のボトムにラインが響かないデザイン、生理期間中の不安が大きい人のためのデザインなど多様で、なんと一部、初潮を迎えたばかりの女の子用のサイズまで準備している。
新型コロナ感染症の影響で一時品薄と言われた生理用ナプキンの代用としても話題に上がった月経カップ。ウェブサイトでは見かけるが実際どんなものなのか気になっている方はここで手に取ることができる。サイズもいろいろ、こんなにぐにゃりと曲がるんだということもぜひ体感して欲しい。
トイレタリーメーカーが展開している”#NoBagForMe”キャンペーン(生理用品を購入した際に透過性の低い紙袋などで二重に包装することを断ること)等をはじめ、国内でも、女性の選択肢の多様化に注目が当たりつつある。女性の誰もが何かしらは、身体の変化に悩みや課題を抱えていることをもっとオープンに出来たり、ソリューションを紹介し合うことに寛容な世の中になれば、それはきっと性別を問わず豊かな社会への大きな一歩になると感じる。
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#NEW STAND TOKYO
https://newstand.jp/
#fermata株式会社
https://www.hellofermata.com/
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をビジョンに掲げ、未だタブー視される傾向にある「女性のウェルネス」課題を解決・支援する事業を行っている。女性の体の悩みや課題を共有するプラットフォームの創出、ウェルネス課題の解決に繋がる世界中のプロダクトの提供を通して、日本、そして世界のFemtech産業を加速させ、女性だけでなく皆が生きやすい世界を目指す。
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