編集部が行く!パラスポーツ観戦記_vol.7バドミントン
- 共同執筆
- ココカラー編集部
東京2020パラリンピックの新競技、パラバドミントンの代表出場権をかけた選考予選大会兼イベント「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2019」が、11月13日から5日間に渡り開催されました。今大会は、東京パラリンピック出場を目指す選手にとって、重要な大会の一つです。
パラスポーツ観戦初心者である執筆者が、みなさまにパラバドミントンをさらに楽しんでもらえるよう、大会の模様や競技の魅力などをお届けしたいと思います!
⬛世界ランクのチームが集結
11月13日(水)から11月17日(日)、「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2019」は、2020年開催のパラリンピック本番会場と同じ、国立代々木競技場第一体育館にて行われました。世界トップクラスのプレーヤーをはじめ、世界35カ国、地域の選手が総勢219名集まりました!
2019年8月に行われた世界選手権では、WH1女子シングルスの里見紗李奈選手が金メダル、上肢障がいSU5の鈴木亜弥子選手が銀メダルを獲得するなど、日本の12名の選手に計11個のメダルが渡っています。
特に、男女単複4種目が行われる車いす種目は、来年の東京2020で活躍が期待される日本の有望種目だそうです!
⬛クラス分けにも注目!
パラバドミントンには大きく分けて車いすと立位があり、立位はさらに4クラス(下肢障がい2クラス、上肢障がい、低身長)にカテゴライズされています。障がいの種類や程度でクラス分けされており、クラスはアルファベットと数字で表されています。アルファベットは障がいの種類、数字は障がいの程度を示しています。数字が小さいほど、障がいが重いことを表します。試合中、会場内のモニターで、アルファベットと数字を確認することができました。それぞれに1対1のシングルスと2対2のダブルスがあります。
車いす→WH1、WH2(下肢に障がいがあり、車いすを使用している)
立位→SL3、SL4(下肢に障害があり、立ってプレーできる)
立位→SU5(切断や麻痺などの上肢障がい)
立位→SH6(低身長)
⬛クラスごとに違うルール
得点は21点先取で1ゲーム獲得となり、2ゲームを先取した方の勝利になります。ネットの高さや基本的なルールは一般のバドミントンと同じですが、障害の種類や程度によってルール変更が加えられています。実際に客席から立位の試合の様子を見ていると、健常者同様のスピードに驚かされます!
WHの場合、ネット近くに設けられたサービスラインとネットとの間に落ちたシャトルはアウトになります。また、シャトルを打つ瞬間に胴体の一部が車いすと接してはいけないというルールがあります。車いすを巧みに操作しながら繰り出す多彩なショットや、数手先まで読んだ頭脳プレーが見どころです。上半身を反り返して、繰り返し打ち込むスマッシュの力強さに感動させられました。WHで使用する車いすは、バドミントンをプレーするために進化した競技専用の車いすです。背もたれは体を後ろにそらして打ち返すことを想定し、プレーの邪魔にならない高さに、タイヤの角度は前後へ急発進しやすいように、八の字型に取り付けられています。さらに、後ろに転倒してしまわないように2つのキャスターを取り付けて安定させているそうです。
写真では伝わりにくいのですが、パラバドミントンの大きな特徴と言えるのがコートの広さです。WH1、WH2のシングルス、ダブルス、SL3シングルスの3種目は、一般よりコートを狭めて実施されています。車いすのシングルスはコートの半分を使い、シャトルはネットとネットに近いサービスラインの間に落ちたものはアウトになります。
日本人選手のなかで、目を見張る勢いを繰り広げたのが、日本の車いす男子WH2の梶原大暉選手でした。18歳の現役高校生プレーヤーの梶原選手は、シングルスとダブルス両方にエントリーして、いずれも予選リーグを全勝で突破。そして、それぞれ準決勝まで勝ち進み、銅メダルを獲得したのです。今後の活躍にも期待が集まりますね。
⬛“渋パラアートの日2019”
世界初のパラリンピックは、1964年11月8日に渋谷区、織田フィールドを舞台に実施されました。
東京2020パラリンピックでは、“卓球、バドミントン、車いすラグビー”の3競技の会場となる予定の渋谷区。そこで、多くの方々にパラリンピックへの興味喚起・応援機運の醸成を目的として行われているプロジェクトに「渋パラアートの日2019」があります。前回のパラリンピックが開催された11月8日を「渋パラアートの日」として、アートを介し「渋谷」とパラスポーツの関連性、イメージを醸成する目的で行われています。「世界の皆さんへこんにちは」のテーマに、障がい者アーティストと渋谷区内の中学生が絵画作品を合作しています。とても楽しい絵がたくさん描かれています。渋谷区内で開催されるパラリンピック関連のスポーツイベントに作品の展示コーナーを設置されています。また、2020年には渋谷区役所内での過去作品も含め展示する予定だそうです。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
⬛取材を通して
会場には8つのコートがあり、ハイレベルな戦いが繰り広げられていました。健常者バドミントンも同様ですが、テクニカルで戦略的なプレーヤーの動きを楽しみながら観戦することができました。
車いすのクラスでは、車いすを動かす、打つ、という動作を瞬時に判断して行うため、持久力や忍耐力が求められる競技だと感じました。車いすを操るスピードも素晴らしいものでした。
健常者バドミントンを含め、来年の日本代表の活躍に、さらに期待したいと思いました!
取材・執筆 木村真悠子
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