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29

Nov.

2022

interview
13 Oct. 2022

登校拒否の問題に取り組む『トーキョーコーヒー』 とは?吉田田タカシさんインタビュー

小川百合
クリエーティブ・プロデューサー
小川百合

今年2月に取材した新しい子ども食堂のオーナーのカタチ「まほうのだがしや チロル堂」共同オーナーの吉田田タカシさんが登校拒否の課題に取り組むプロジェクトを開始されたと聞き詳しく伺いました。

 

―日本の大きな課題のひとつである登校拒否に取り組まれたきっかけを教えてください。

 

吉田田さん(以下、ダダさん)

トーキョーコーヒーという名前の登校拒否の子どもや大人たちが集まる活動拠点で、プロジェクトのきっかけは今年、たまたま生駒の森の中にボロボロの平屋と庭を手に入れたので、みんなでリノベーションをしようと大人に呼び掛けたこと。コロナで憂鬱な日々を送っている人が多く、自分を取り戻せる場所にしたいという思いから。40人ほど集まり、草刈りをしたり、石を運んだり。朝はよそよそしかったのに、2、3時間経つと仲間意識が芽生え、夜になればお互いの悩みを相談し始める。

 

トーキョーコーヒー生駒の活動

 

何度か回数を重ねているうちに、子どもを連れて来たいという人が現れた。子どものためのものは何もないのに。平日も子連れで参加する人も出てくる中で、これまで通り活動を続けていたら、子どもも自分の遊び方で遊び始めるようになり、そして、明らかに表情が変わった。どんどんと安心した表情になり主体的に行動し始めるのを見て最高だなと思った。どろどろになっても、子ども同士ケンカしていても急いで止める大人はおらず、子どもの世界を壊さないようにみんな見守っている普段ならすぐ注意する親もその場の緩やかな空気から、こういうもんだと見守ることができる。大人が信頼し合い、安心できる居場所をつくって子どもを見守ることは誰にでもできることだと気付いたんです。

 


トーキョーコーヒー生駒の子どもたち

 

-トーキョーコーヒーは子どもの居場所でありながら、大人の学ぶ場所として、先に大人へアプローチしていることが大きな特徴だと感じました。

 

ダダさん

20万人近い不登校の課題は本当に子ども側にあるのだろうか。問題は大人の無理解だと考えている。多様な子どもたちがいていいという大人の理解がなく、不登校の子どもたちがどうやったら学校に戻れるのかという視点から考える人が多いがそれではこの問題は解決しないと思う。なので、大人ひとりひとりの意識の変化をトーキョーコーヒーは目指しています。

 

 

―大人とって、これまでの人生で刷り込まれた学校や教育に対する意識を変化させることは簡単ではなさそうに思います。

 

ダダさん

ここ数年で日本中の働き方が変わった背景にはムーブメントがあって、ブラック企業が流行語になり、その影響で自分の働き方に違和感を持たなかった人も意識が変わり、政治や法律も変わった。教育についても変わる時期に来ているという世の中の空気の高まりが必要。詰め込み教育世代は、物事には正解があるという勉強を繰り返した。これまでに膨大に暗記したものが今の自分の幸せとどのくらい繋がっているのか?僕らはすでに知ってるはず。でも、子どもが歯を食いしばって宿題をしていたら安心し、嬉しそうに遊んでたら遊んでばっかりと不安になる。次のテストでいい点を取ること、偏差値を高くすることが幸せに繋がっているのかどうか、丁寧に考えてみるとおかしいとみんなが気付くはず。

 

―不登校は子どもにとって何が一番の問題でしょうか。

 

ダダさん

学校に行かないことがそんなに問題ではなくて、保護者が悩んで家庭が暗くなってしまうことや、日中に行き場がないことが究極の問題。子どもの世界って家庭と学校がすべて。だから、どうしようもなく学校が苦しい場所になり行けなくなった時に、居場所の半分である家庭からも学校に行きなさいと言われることで、自分はダメだと感じて自己肯定感を失い、親は子どもが学校に行かないことで、子育てを間違えたと感じてしまう。

そこから親が考え方をアップデートするまでの時間を短くしたい。近くのトーキョーコーヒーに参加することで、ちょっとずつ親も安心して暗かった表情も変わり、それを見た子どももここは安心できる場所だと少しずつ自信を取り戻せる。まずは子どもの信頼を取り戻し、安心してもらえるような場所をつくることが一番だと思っています。そして、様々な理由で登校拒否を選択した子どもやその親が、世間から後ろ指をさされたり、罪悪感を抱えたりすることのない世界にしたい

 

トーキョーコーヒー生駒の活動

 

―新しい教育や子育てに対する価値観を知った大人の変化はとても大きいように感じました。

 

大人の変化はとても多く、拠点をする主宰する人もアップデート中という感じ。まずは大人が自分たちにとって楽しいこと、やりたいことをみんなでやる。ただそこに子どもを連れて来るところからスタートしたいけど、つい子どもと一緒にできる活動にしてしまう。もしも、子どもがずっとゲームしていたら?と不安になる。その時はみんなで子どもの様子を見守る。まず、それでいいんだという理解をしてもらうのに時間がかかる。でも、子どもにとって安心できる場所にしか能動的な学びはないんです。

 

 

トーキョーコーヒー生駒の子どもたち

 

―子どもをただ見守るというのは勇気が必要な気がします。

 

ダダさん

子どもが子どもらしくいることの全部を肯定して寄り添うだけです。例えば、ゲームばかりしていると注意し、禁止するのではなくて、今この子はゲームに熱中しているんだなと見守る。もっと他の体験をしてほしいと心の中では思っても、根気強く見守るうちに子どもは他のこともやりたくなって、自分から変化していく。ゲームから学ぶこともあると思う。子どもを信じられないから、大人は子どもを統制していくと思います。

 

 

―今後はどのようにトーキョーコーヒーを全国へ広げていくのですか?

 

ダダさん

現在トーキョーコーヒーでは拠点を主宰してくれる人を募集しており、すでに研修を受けた人たちにより160以上の拠点で活動がスタートする予定。不登校の問題を暗く捉えずに「トーキョーコーヒーやろうぜ!」と大人が学び、楽しみながらやる活動なので、みんなで楽しく緩やかに革命が進んでいけばいいと思っている。日々、楽しいです。

 

トーキョーコーヒー生駒のような拠点が全国へ

                  

インタビューを終えて

ダダさんのお話しを聞いていると20万人近い登校拒否の問題が解決する未来が見えてくるような気持ちになりました。多様な価値観を知る機会が増え、日本にあるさまざまな伝統的な価値観が変化し始めていますが、誰もが関わる教育に対して、みなさんはどこまで丁寧に考えたことがありますか?私自身、常に正解があるという教育を受けて来た世代なので、子育てにもつい正解があると思って子どもに関わってしまうことがあります。子どもを見守る勇気を身に付けたいと思いました。次回は実際にトーキョーコーヒーを主宰する方々にご自身の変化や、拠点に対する思いをぜひ伺いたいです。

 


吉田田タカシ
トーキョーコーヒー主宰
まほうのだがしや チロル堂 共同オーナー
アトリエe.f.t  代表
DOBERMAN ボーカル

トーキョーコーヒーとは登校拒否のこどものアクションから大人が学び、教育の考え方をアップデートする場所を全国に 500ヶ所つくり、画一的な教育システムを塗り替えるムーブメントを起こすべくプロジェクト
https://tkcf-tokyocoffee.com/

取材・文: 小川百合
Reporting and Statement: yuriogawa

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