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Dec.

2019

interview
29 Nov. 2019

全ての人々にチャンスを与える、”学びの学び方”

坂野広奈
プランナー
坂野広奈

異なる業種、性別、国籍、コミュニティの人々が混ざり合う(「マッシングアップ」する)ことで、参加者へビジネスのアイデアやネットワークなど、新しい一歩を提供するカンファレンス「MASHING UP」。

Cococolorでは昨年に続き、キーノートスピーカーへのインタビューをレポートします。

 

今年のキーノートスピーカーであるスイン・リー氏は、特別な支援を必要とする子どもや教材を入手できない子どもを含む、あらゆる子どもに向けた学習アプリを提供する教育テクノロジー企業Enumaの共同創業者兼CEOです。

EnumaCEOスイン・リー氏 (IMAGES BY MASHING UP)

 

アプリを通じて世界中の子どもたちに学習のチャンスを与えるリー氏に、教育の課題、そして目標についてお話をうかがってまいりました。

 

教育で最も大切なこと

Enumaでは、アメリカや日本を始め世界で700万ダウンロードをされた算数学習アプリ「Todo Math」や、途上国の子どもに向けた「Kitkit School」など幅広い子どもを対象に学習アプリを提供しています。

途上国の子どもを対象とした「Kitkit School」はタブレットがあれば一人で読み書きや算数を学ぶことができる。 (IMAGES BY Enuma)

 

これらの学習アプリは、カラフルなキャラクターが多く登場しゲームのような楽しい内容である点や、学習スピードがゆっくりで分かりやすい内容である点などで共通しています。

 

リー氏は、子どもがモチベーションを保って自ら学習をする為には、成功体験を与えることが最も大切だといいます。

教育で大切な3つのポイント 「自立」「モチベーション」「成功体験」

 

元々大手ゲームメーカーでクリエイターとして働いていたリー氏は、難しすぎるゲームは子どもたちが途中で投げ出してしまう点に注目しました。モチベーションを維持するために重要なのは、自分でできた!という成功する経験を増やすこと。

しかし、年齢ごとの平均的な学習レベルを元に構成されている現行の学校教育では、平均に満たない子ども達が取り残されてしまう傾向にあります。特に貧困や移民であることで一度勉強についていけなくなった子どもたちは、結果として学ぶことをあきらめてしまうというのです。

Enumaでは全ての子ども達が各々の成功体験を得られるように、自分に適したベーシックなレベルから1つ1つクリアをし、ゆっくりと進められるゲーム内容となっています。楽しく勉強の成功体験を得ることで、自分で勉強を進めることを学んでいくのです。

 

好きなように生きる為のチャンスを与えるということ

リー氏の目標は「Make Independent Life(自立した人生を与える)」こと。

100%に近い識字率を誇る日本で暮らしていると想像もつかないですが、世界には読み書きのできない人が約7億5000万人(約6人に1人)います。(※ユニセフ「世界子供白書2017」より)リー氏は、小学校2年生レベルまでの基礎的な知識を得ることが、その後の学習に向けた大きな架け橋になるといいます。その知識があれば、あとは自ら調べたり学習したりすることで知識を深めることができますが、基本的な文章把握能力や数の知識がない場合、そもそも教育システムにアクセスすることが難しくなってしまうのです。

テクノロジーの発達した現代、ハーバード大学やスタンフォード大学など複数の名門大学が一部の授業をインターネットで無償公開するなど、パソコンさえあればどこからでも質の高い教育を受けることができるようになりました。多くの学びへアクセスする第一歩、そのチャンスをリー氏は与えているのです。

取材・文: 坂野広奈
Reporting and Statement: hirona

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