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9 Feb. 2021

ウェルビーイングを高める為に、改めて考えたい人との繋がり方 ~マリエム・ジャム氏インタビュー~

坂野広奈
プランナー
坂野広奈

多様な視点で社会課題を捉え未来を考えるビジネスカンファレンス「MASHING UP」。2020年コロナ禍で行われた第4回目は、「Explore! The New Well-being(これからのウェルビーイング)」をテーマにして開催されました。

キーノートスピーカーの一人である、iamtheCODE創設者マリエム・ジャム氏に、ウェルビーイングを高める為のコミュニケーションの重要性について伺いました。

 

マリエム・ジャム氏

若い女性へSTEAM教育を提供するiamtheCODE創設者。2013年、世界経済フォーラムでYoung Global Leadersに選出。2017年には活動を称え、ユニセフとビル&メリンダ・ゲイツ財団によるGlobal Goals Award受賞。

 

少女への教育機会の提供は最もハイリターンな投資

ジャム氏は、教育の機会から阻まれた少女へプログラミングを中心としたSTEAM(Science, Technology, Engineering, the Arts and Mathematics)教育を提供する団体、iamCODEの創設者です。2030年までに100万人の女性にプログラミングスキルを学んでもらうことを目標に掲げ、アフリカや南米をはじめとする世界68か国で活動を続けています。

セネガル出身のジャム氏は、孤児院で育ち13歳の頃に人身売買によりヨーロッパへ渡るという壮絶な過去を経験しています。そして、掃除や給仕の仕事に従事しながら公共図書館で自主学習し、英語やプログラミング言語を習得しました。こうした背景から、スラムなどの貧困街で暮らす少女へ教育を受けるチャンスを与えることをミッションとしています。

「私は勉強を通じて、自分の置かれた環境を変えることができました。自分と同じような辛い体験をする少女を増やしたくないという思いが、iamCODEでの支援をするモチベーションになっています。

社会から疎外された少女への教育機会提供は、発展途上国で最もハイリターンな投資だと感じています。長期的で地道な投資にみえるかもしれません。しかし教育を受けた女性達が成長し、いずれ社会へ出た際により良い職に就きお金を稼ぐことができれば、彼女たちが社会へ再投資をする良い循環が生まれるのです。」

 

心身の健康を保つことが、努力をするために必要

STEAM教育の提供を続けるジャム氏は、プログラミング教育の他、少女たちの“ウェルビーイング”を高める為、カウンセリングや食生活のサポートをするiamtheFOODの活動にも力を入れています。

「働く為には、スキルを身に着けることはもちろんですが、心も体も健康でいることが大切です。一生懸命働きたくても、気分がよくなければ仕事にはなりません。心身の健康が保たれ、自分に自信を持つことができて、初めて努力をできるようになると感じています。」

コロナ禍において、人と直接コミュニケーションをとる機会が減少してしまっている中、メンタルヘルスは世界中で危機的な状況にあるといいます。

 

「日本においても若い女性の自殺率が大きな問題になっています。デジタルツールを通じた女性のメンタルケアへの対策が必要ですし、メンターとの会話や交流によるメンタリングも大切だと感じています。

世界の様々な地域で少女達と関わって来て、それぞれの国に異なる課題はありました。けれど、国や国籍や肌の色を問わず、彼女たちが必要としているものはどこでも共通していました。それは、愛情を持って接し、気に掛けてあげることです。ただ親切について語るのではなく、みんなが実際に親切に行動し合うことが大切です。」

 

iamCODEのウェルビーイングクラブでは、環境問題やいじめ、心の健康など多岐にわたるトピックについて、前向きに語り合う場を提供している。

 

コミュニケーションをとることは、メンタルケアだけでなくモチベーションを高めることにも繋がります。

「教育の機会や食など資源が豊富にある環境だと、一見課題が見えにくくやるべきことが分かりづらいかもしれません。こうした状況では、社会に変化をもたらすために行動するモチベーションを持つことは難しいでしょう。そういう時は、自分と異なる文化を持つ人と会話をし、世界に目を向けて下さい。自分と違う人とコミュニケーションをとり、新しい価値観や文化に触れることで、より新しいことを知っていきたいというモチベーションに繋がります。」

 

The world is made from who you know.

予期せぬ環境の変化があった2020年、対面で人と会ってコミュニケーションをとることが憚られるようになりました。しかしそんな中だからこそ、人との繋がりの大切さを実感する年でもありました。

「世界は自分が知っている人できています。人との繋がりやコネクションはあなた自身の価値になっていくのです。常に真剣でいて、真面目に働いて、そうした積み重ねがかけがえのない人との繋がりを少しずつ作っていきます。」

 

取材・文: 坂野広奈
Reporting and Statement: hirona

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