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18

Apr.

2021

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5 Feb. 2021

ウェビナーレポート『CancerX教育~知りたい!まもなく始まるがん教育』

國富友希愛
コミュニケーション・プランナー
國富友希愛

2人に1人ががんになると言われる時代に「がんと言われても動揺しない社会」の実現を目指して活動している一般社団法人CancerXが主催のイベントシンポジウム【World Cancer Week2021】(以下WCW2021)が1月31日から2月6日まで開催されています。

▼イベントリンク

https://cancerx.jp/summit/wcw2021/

CancerXは、Collaborate(かけあわせる)/Change(かえられる)/Cross Out(かこにする)の3つのキーワードを軸に、WCW2021ではより多くの人が、がんを知り、関わり合って、変えていく「With Cancer」という価値観を広げることをコアにして、コミュニケーションの拡張を目指しています。子どもたちにとって、他者と関わありあいながら、がんを知るきっかけとなる学校教育では、何を変えていくべきか。本記事ではWCW2021の中から【CancerX 教育~知りたい!まもなく始まるがん教育】のウェビナーレポートをお送りします。

 

■【CancerX教育】登壇者

小林 豊茂氏(豊島区千登世橋中学校 校長)
助友 裕子氏(日本女子体育大学 教授)
若尾 文彦氏(国立がん研究センターがん対策情報センター・センター長)
モデレーター:岡崎 裕子氏(陶芸家/遺伝性乳がん当事者)
モデレーター:三好 綾氏(NPO法人がんサポートかごしま理事長/一般社団法人全国がん患者団体連合会理事・事務局長)

©CancerX

 

■がん教育とは

(若尾氏)がん教育の定義とは、がんについての正しい理解と、がんに向き合う人々に対する共感的な理解を深めることを通じて、自他の健康の大切さについて学び、共にいきる社会づくりに寄与する資質や能力を育成することです。保健体育の授業において、医療者の他に、がん経験者などの外部講師から、がんに関する知識の普及啓発が行われます。現状の課題としては、外部講師の活用が不十分であること、教員のがんに関する知識が必ずしも十分でないことなどが上げまれます。学ぶ子どもたちには、小児がん当事者や、ご家族にがん患者がいらっしゃる場合がありますので、それについての配慮が必要であること。地域・学校間格差があることも意識するべき課題です。

 

©CancerX

 

■偏見を生ませないためのがん教育

(三好氏)子どもたちへの配慮という点で、私が鹿児島県で主催する「いのちの授業」では【伝えたい5つのこと】を大切にしています。

©CancerX

授業の1コマ目では「がんの知識」2コマ目では「いのちの大切さ」の授業を行っています。その中で、子どもたちにとったアンケート結果のひとつに、以下のようなものがあります。

©CancerX

注目すべきは、小中学生の多くががん患者の方と関わりがあり、小学生の16%が、がん教育の授業を受けることに「心配なことがある」と感じている点です。がんに対する不安も「偏見」のひとつと捉えられるかもしれません。

©CancerX

(助友氏)こちらの調査結果をご覧いただくとわかるのですが、がんになるのは「たばこやお酒をやりすぎた人だ」という偏見が生まれていますね。

©CancerX

(助友氏)合わせた調査で、こういった偏見を生まないためには、外部講師がいるほうが、偏見が緩和されるという結果もでています。

 

■がん教育に求められるバランス感覚

(小林氏)校長の傍ら、がん教育をがん経験者として行っていて、その中では具体的な入院体験などを話しています。子どもたちはがんになることに遠い存在で、子ども自身はがんになりにくい。一方で家族や親族はがんになる。そのギャップを捉えながら、私の狙いとしては、自分が体験を実際に語ることで「がんなのに、こんなに元気なの?」と子どもたちに思ってもらうことです。それによって、偏見やがんのイメージを払拭したいと思っています。これからは、がん患者・医者・患者を支えている人の3者を外部講師として招き、包括的に生きることの大切さを伝えたいです。

(助友氏)昨今は、保健体育でなぜコロナではなくがん教育をやるのか?ということを聞かれることがあります。学校現場では、がん以外にも、歯周病や精神疾患も教育しています。その心得は、病気の原理原則を学ぶことで、子どもたちが成長して実際に課題に直面したときに対応できる大人になるにことが大切だからです。物事を客観的に捉えて自分で選択を決められるようになってほしい。コロナも「わからない」ことが多いですが、がんも同様に「白黒つけられない」シンプルではなく「グレーなものである」ということを伝えたいと考えているのですが、伝え方が難しく模索中です。

(若尾氏)がんの知識や情報の平均値を伝えながらも、本質的には、情報リテラシーや健康リテラシーを子どもたちに身に着けてほしいです。例えば、メディアのあおりにのらない、極度に恐れない、たくさんの情報から自分で考える力を育む。そういったアクティブラーニングのプロセスに、がんはとても良い材料になっているのではと思っています。

(三好氏)私は教育現場で、“反対言葉”を伝えることを意識しています。私自身が乳がん経験者ですが、子どもたちが元気な私をみて、「がん・元気・楽勝!」という印象で捉えてはほしくないのです。正しく怖がることも必要であるし、元気になる人もいる。双方のバランスを伝えなくてはならないと思っています。

(岡崎氏)子どもがお友達から「がんって死んじゃうんだって」と言われたことで、がん経験者の私を母にもつことで、子どもが反論してそのお子さんと口論になったことがありました。わからないグレーなことが多い中で、がん=死ではないことを伝えつつ、がんを怖がらせ脅すような教育にならないことが必要ですね。

(三好氏)がん教育を通じて、がん患者の方=かわいそうではなく、当事者が頑張っていることに気づいてもらえればと思います。そして、がんに関わらず、しんどいことがあったらヘルプと助けを求めていいんだ、困ったことがあったらお互いに助け合えばいいんだということを子どもたちに知ってもらいたいです。がん教育を通じて、命の大切さを学ぶ人生教育ができるのではないでしょうか。

(助友氏)健康と命の大切さを知り、知識の理解を子どもたち深めてもらうためには、がん教育を行う現場の先生の努力が必要ですが、現状、学校の先生はとても忙しいですよね。外部講師の方を積極的に招くことも必要ですし、忙しい先生を支えるのは、実は社会なのではと思っています。教育を支えるのは社会であり、がん教育が、学校教育を社会に開いていくことのきっかけになればと思っています。

©CancerX

■最後に

本セッションの参加者からは、「がん教育とは何かがよくわかった」「教育の中でのバランス感覚の必要性がわかった」という声があがっていました。私も学びを頂いた一人です。これまで語られにくかったがんについて、子どもと大人が関わり合いながら学ぶ教育の必要性が実感できました。是非、他のセッションの情報もご確認ください。WCW2021は2月6日まで開催されています。

▼World Cancer Week2021/CancerX

https://cancerx.jp/summit/wcw2021/

 

取材・文: 國富友希愛
Reporting and Statement: yukiekunitomi

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