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Dec.

2017

interview
10 Aug. 2015

「ノーライン・キャリア」の時代 ②~「二枚目の名刺」(後)~

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<ダイバーシティな働き方  「ノーライン・キャリア」>

グローバル経済の進展、少子高齢化、労働市場の流動化などの環境変化によっ て、日本人の働き方が変わりつつある、と言われ始めて久しい。終身雇用、年功序列といった慣行が崩れるなど、やや恐怖訴求的な論調のニュースが目立つ。一 方、この変化をチャンスととらえ、これまで当たり前とされて来た枠組み(ライン)に縛られず、逆に自分で自分の限界(ライン)を決めない多様で新しい働き 方、つまり「ノーライン・キャリア」を創りだしている取り組みが、現れはじめた。そうした開拓者たちの“いま”をレポートして行きたい。

<第2回 「二枚目の名刺」(後)>

持つ1枚目の名刺にとどまらず、組織の内外を問わず新しい社会を創ろうとする「二枚目な社会人」を輩出しよう!そんな志で発足し、いまや流行語と言えるほどのムーブメントを生み出しつつある、NPO支援団体【二枚目の名刺】。前回は、その進化の形として、企業連携の取り組みをご紹介した。後編では、もう一つの進化の姿をご紹介する。

 “社会と自分にとってのHappinessとFunを創って行きたい”  

「女性活躍推進」が、政府主導のもと各企業で推進されている。その目標(値)は 女性管理職割合増加、とされているが、果たしてそれだけなのだろうか?女性ならではの感性や気づきを活かす質的な側面もあるのではないか、という疑問を投げかける向きもある。「二枚目の名刺」では、その「男性では気づかない領域」に着目した活動が、徐々に始まりつつある。 今年の3月、都内で「二枚目の名刺」が企画し立ち上げを務めたイベントが開催された。タイトルは「これからのエシカルファッションを学ぶ」。

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エシカル(Ethical:倫理的な)ファッション( Fashion)とは耳慣れない用語だが、「道徳的、倫理的、社会の役に立つ、良識にかなう」形で生産、流通(フェアトレードなど)されているファッションをさす、近年、日本でも少しずつ知られ始めた考え方だ。このコンセプトを実践するために設立された「ポレポレ(スワヒリ語で「ゆっくり」という意味)」というNPO団体がある。「女性に尊厳と誇り、働く喜びをもたらし、ひとりでも多くの女性を貧困から救いたい」という理念のもと、MEKONG BLUEというシルクストールブランドを立ち上げ、教育を受けることのできないカンボジアの女性たちに手織りの仕事を提供し、収入を得ることで仕事ができる喜び、尊厳を持ってもらい、同時に売り上げを職人育成や識字教育、子供たちの通学支援、働くための託児所の開設などに充てている現地のNPOの流通支援を行っている。

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理念に留まらず、そのファッションやデザイン性は、ユネスコの手工芸部門で3度の栄冠に輝くほど評価もされている。これまでは社会問題に感度の高い人たちに知られ、受け入れられては来た。だが、もっとMEKONG BLUEブランドを、世の中に幅広く知ってほしいというポレポレ・高橋代表の思いに応え、イベントの企画・運営を行ったのが、「二枚目の名刺」女性チームだった。 「社会課題というと、どうしても大所高所になりがちなのですが、毎日の生活の中で身に着けるファッションにも、社会課題が潜んでいるんだと思います。」と説明してくださったのは、このイベントを企画した「二枚目の名刺」立ち上げ時からのメンバー、皆川朋子さん。

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(皆川さん)

イベントでは、第一部としてフリーアナウンサーの末吉里花さんによるトークセッションや高橋代表との対談が行われ、続く第二部ではプロのスタイリストによるストールの巻き方講座が開催された。末吉さんは「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンター役を務めた経験からフェアトレードに関心を持ち、「エシカル協会代表」として精力的に活動を行って来られた。トークセッションでは、「毎日、モノを買う時に、それが途上国の課題につながっている感覚を持つこと」の大切さ、を実体験に基づいて説明。参加者の反応も上々で「ストールの巻き方の勉強と思いきや、環境や労働問題も知ることができて、とても有意義で楽しい時間を過ごすことができました」「私たちの暮らしの豊かさが、僻地の各国の地域に悪いサイクルをもたらせているというのは、はっとさせられました」と、“一般の人へのリーチを広げる”という目的を達成することができた。

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(末吉さん(左)と高橋さん(右))

では、コンサルティングファームの執行役員でもある皆川さんにとっては、この活動はどういう効果をもたらしたのだろうか?「MEKONG BLUEのように素敵な、素晴らしい取り組みに、自分が関わることでより大きなインパクトを創りだせる、それが実感できるのは本当に得難い経験です。末吉さんはじめ、普段の仕事ではお目にかかる機会の無い多様な人々との出会いも大きな刺激になり、『一枚目』の仕事での視野が広がったように思います」。

MEKONG BLUEは、「二枚目の名刺」に参加するきっかけともなった信条“社会と自分にとってのHappinessとFunを創って行きたい”が、理想的なカタチで実現したイベント(出来事)にもなった。そして、これまで漠然と抱いて来た問題意識が、このイベントを通じて確信にも変わった。結婚、出産など、女性にはライフイベントが直接、仕事に影響し、いきおい働き方も多様にならざるをえない。逆に、環境変化の中で感じることを、社会活動に昇華させることが出来るのではないか。そう考えたという皆川さんは「産休、育休の間など、もし環境が変わって気持ちに余裕が持てるタイミングがあれば、是非、日々のちょっとした疑問や関心ごとに一歩踏み出してトライしてみてください!」と語る。

右脳と左脳を繋ぐ脳漿は、男性よりも女性の方が太いと言われている。 一枚目の名刺では、ビジネス脳=左脳を使い、二枚目での名刺では女性ならではの感性=右脳を使う。両方の活動が相互に交流していけば、それは「数値目標」という枠に留まらない、女性の働き方の新たな可能性が生まれて行くのでは、ないだろうか。

「二枚目の名刺」では、8月30日(日)に、社会に本気で変化を仕掛ける社会人と、企業、NPO、行政、アカデミックが一同に会する「夏フェス2015」を開催する。新しい働きかたを見つけに、足を運んでみることをお勧めしたい。

参考:NPO法人二枚目の名刺

関連記事:
「ノーライン・キャリア」の時代 ①~「二枚目の名刺」(前)~

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取材・文: メビウス4U
Reporting and Statement: moebius4u
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