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13 Mar. 2018

超福祉展2017 – 「みんなのダイバーシティ 調査」超福祉展参加者の反応は・・・?

伊藤亜実
cococolor編集員 / ライター
伊藤亜実

2017年11月、電通の2020プロデュースセンターと、電通ダイバーシティ・ラボが中心になり実施した「みんなのダイバーシティ調査」の結果が、パネルとして超福祉展会場の入り口を飾りました。

あなたもダイバーシティ!
今回の調査テーマはインクルージョン・ニーズ、LGBT、障害者、外国人、高齢者の5つ。中でも今回特に中心的に伝えたかったのは、全国民の約4割にインクルージョン・ニーズがあるということ。「ダイバーシティ&インクルージョン」というと、一部の人だけのことだから自分には関係ない、だったり、難しそう、触るのが怖い、といった印象を持ってしまう人も少なからずいるようです。
しかし、この言葉の本来の目的は、様々な個性を持った人それぞれが、自分の個性を活かしたままでも生きやすい、インクルーシブな社会を作ること。個性はすべての人が持つものですから、決して限られた人のためだけのものではないのです。

そのことを少しでも伝えたくて、今回「インクルージョン・ニーズ」という考え方を提案しました。

例えば、視力が悪いので普段コンタクトレンズを使っている人であれば、初めて訪れた温泉で裸眼になったとき、視界がぼやけてどこに何があるのか分からず、誰かの助けが必要だと感じるのでは。例えば、あなたがこれまでシェービングクリームの担当をしていた男性だとして、ある日突然、女性向けの生理用品の新商品開発担当になって、同僚が全員女性だとしたら、そんな中で競争しなければならないのは、とても不利だと感じないでしょうか。

ある環境下で「弱者」になるかどうかは、自分自身ではなく状況や環境によるのだということ。そういった状況は、多くの人に可能性があるし、すでにそのような経験をしたことのある人が、4割いる、というのが、今回の調査結果です。

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他にも、いろいろなファインディングスがありました。

「LGBT」という言葉について知っている」という項目については、40%が知らない、47.2%が知っているという結果に。半分の人が知っているというのはかなり浸透してきていると思いつつ、ジェンダーはあらゆる人に関係のあることなのだから、認知率100%を目指したいとろ。

「身近な人からカミングアウトされたら受け入れられる?」という項目については、10〜20代がとてもオープンな反面、40代は厳しい結果になりました。

「障害のある人と接すること」については、若い世代ほどどうしてよいかわからず、60代は何かできることがあるか聞く、というLGBTとは逆の結果に。

また、「外国人から話しかけられないように、ついつい目をそらしてしまったことがある」という人がなんと4人に1人。などなど。

いろいろな形のダイバーシティ&インクルージョンについて考えるきっかけを提供できたのではないでしょうか。

 *詳細は、こちらのリリース資料をご覧ください。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/1107-009389.html


超福祉展のパネルにはたくさんの意見・アイデアが!
さらに、本稿冒頭の写真でご覧いただいたように、今回は調査結果を一方的に発表するだけではなく、いろいろな方に見て、意見を表明していただくため、超福祉展にてパネル掲示をし、誰でも自由にポストイットで意見を張り付けられるようなインタラクティブな設計にしました。

超福祉展の会期は約1週間、最終日の様子がこちら。かなりのたくさんのポストイットが貼られています。その数、実に124枚。

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会場入り口に掲出したということもあり、かなり多くの方が足を止めて読み込んでくださっていました。
以下で、いただいた意見をいくつかピックアップしていきます。

  • インクルージョン・ニーズ
    • 「違い」を知ることは、まだ見ぬ素晴らしい世界との出会い。
    • familyのダイバーシティも入れて欲しい!

自分とは「違う個性」と出会ったり、その視点を知ったりすることを面白いと感じる人が増えたら、ダイバーシティな社会がどんどん良い方向に回っていきそうですね。family・家族の多様性も、誰しもに関係のある、とても興味深いテーマです。

  • LGBTについて
    • 性別の自認がないパターンもある。そういうのはLGBTに入るのかな?
    • 授業など総合や道徳なのでLGBTについてもっと取りあげても良いのでは??
    • ↑賛成!小さい時からいろんな性があることを伝えていきたい。

今回は性の多様性を示す言葉として「LGBT」を用いましたが、最近、「SOGI」という言葉も使われ始めています。これは、 Sexual Orientation & Gender Identityの略で、性嗜好や性自認についてのあらゆる多様性を含む言葉で、自認がないということも含まれていくでしょう。

LGBTに限らず、幼少期からの学校教育で多様性の視点を取り入れるという意見も多くみられました。パネルのポストイット上で、コミュニケーションが生まれたのも、嬉しい限りです。

  • 障害者について
    • 手帳取得に至らない人のことを知ってほしいです。
    • 障害者の「ため」の職域ではなく、「全ての人ができる」職域を開発したい!
    • 駅のホームの天井からミリ波レーダーを照射して、「みえない壁」をつくり、ホーム転落事故を防ぐ!
    • 日本人という民族(?)は、人のお世話になることを、「迷惑をかける」と混同しがちに思います。自然に助けあえる「心」を育てたい!
    • お互い様という考えを持つのが大切だと思います
    • 車いすが乗ってきて狭いと感じるようなことは必ずしも我慢しなくていいと思う。本音を語り合うことで、相互理解のための気づきができることもある。配慮と遠慮は違う

今回、最もたくさんの意見が寄せられたのが障害者のテーマ。障害の種類や程度、見た目で分かるかどうかなど、千差万別だからこそ、様々な課題意識やアイデアが出てきたようです。手帳取得に至らないけれど困りごとのある人や、人に伝わりづらい内部障害の人は気づいてほしい・知ってほしいという課題意識をお持ちだったり、一方で障害者だからと特別扱いしてほしくない、みんなの中の一つの個性だととらえてほしいという意見もありました。

また、解決策としては、情報や教育によるものから、テクノロジー、リアルな場づくりなどのアイデアが出ました。
「人様にお世話になる=迷惑をかけてしまう」という考え方が実は障壁になっているのでは、という指摘になるほど、と思いつつ、「お互い様の気持ち」を持つことが大事という意見には膝を打ちました。日本ならではの課題&解決です。

そして、過度に遠慮しすぎるのではなく、オープンに互いの困りごとを話し合うことが必要だという意見にも大いにうなづきました。

  • 高齢者
    • カッコイイ杖がほしい!
    • わたしもいつかは高齢者
    • ステキな老眼鏡がかけられたりする!

間もなく超高齢社会がやってくるし、漏れなく全員が高齢者になる、という明確な未来があるので、みなさん漠然と課題感を持っているのが、このテーマ。そして、課題意識を持ちつつも、あまりシリアスにとらえるよりは、カッコイイ高齢者になりたい、楽しい老後が送りたい、といったような気持ちが感じられるコメントが多いように感じました。

  • 外国人
    • 私の母(88才)は平気で日本語で話しかけますが案外通じてますw
    • すでに日本に来ている外国人は言語より習慣の違いからも苦しむ
    • 日本ではムスリムに対応したレストランが少ないので、外国の友人を案内するときに困る

言語対応の課題は根強くありつつ、対面のコミュニケーションであれば、表情やボディランゲージでなんとか対応しているという声も。
より課題感が表れていたのは、食事や入浴、ゴミ捨てなど日本ならではの“習慣”の部分のようです。

みんなのダイバーシティ調査は、インクルーシブな社会実現に向けての、小さなきっかけになることを目指して行ったものです。今後も、調査に限らず様々な活動を拡充していきます。ぜひあなたも、データやみなさんの意見、アイデアを見て思うことがあれば、ご自身の一歩を踏み出してみてください。

取材・文: 伊藤亜実
Reporting and Statement: atimo

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