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23

Nov.

2024

interview
2 Nov. 2023

障がい者・難病者専門のタレント総合プロダクション「ココダイバーシティ・エンターテイメント」インタビュー 前編

海東彩加
ソリューション・プランナー
海東彩加

「障がい者・難病者のご家庭を豊かにする。」

そんなミッションを掲げる、障がい者・難病者専門のタレント総合プロダクション「ココダイバーシティ・エンターテイメント」。

 

ここには、義眼のパーカッションパフォーマー、かっこいいを追及する義足のファッショニスタ、脳性まひのティーン車いすモデル・・・

多様で多彩な41組のタレントが所属しています。

 

ココダイバーシティ・エンターテイメント所属タレント

 

エンタメやビューティを通じて、心を豊かに且つ経済的な側面から全ての人たちがフラットに生きていける社会を目指すココダイバーシティ・エンターテイメントの代表取締役 大倉伸三(おおくらしんぞう)氏に話を伺いました。

株式会社ココダイバーシティ・エンターテイメント 代表取締役  大倉伸三 氏

 

海東:ココダイバーシティ・エンターテイメントの前身は、フリーマガジン「ココライフ女子部」と伺いました。大倉さんがこれらの取り組みに関わるようになったきっかけを教えてください。

大倉さん:2013年に東京2020オリンピック・パラリンピック大会が決定し、障がい者の活躍が脚光を浴び始め、障がい・難病ジャンルNo.1雑誌であるフリーマガジン「ココライフ女子部」の読者モデルの応募も増加しつつありました。

そのタイミングで、「ココライフ女子部」におけるタレント部の設立、「ココライフ女子部」大阪版の創刊が重なり、芸能業界で30年の経験のある私が責任者となりました。

同誌で読者モデルオーディション開催を告知したところ、Yahoo!などメディアに大々的に報道され反響が大きく、全国から凄まじい量の応募や問い合わせがありました。障がい、難病問わず芸能界への憧れを抱いて生きている人たちの多さに感動したことを覚えています。

その後、2020年に法人化し設立されたのが「株式会社ココダイバーシティ・エンターテイメント」です。

ココダイバーシティ・エンターテイメントの前身となった「ココライフ」

 

海東:ココダイバーシティのオーディションにはいつも多くの応募があり、その中から選ばれた多様で多彩な所属タレントの方が活躍されていると伺っています。所属タレントのみなさんに共通する魅力はありますか?

大倉さん:タレントは全員、オーディションを経て所属しています。現在までに1500名を超える応募がありました。

一番の魅力は、エンターテイメントを通じて、自分自身と向き合い、それをタレントそれぞれの方法でアウトプットしていることです。例えば、歌詞の世界観の中で自分の生きている実感や願望を表現すること、義手や義足の仕組みを知りたい人たちが大勢いることを知り、それをモデルとしてかっこよく表現すること。

我々スタッフ含め関係者は、タレントたちの魅力とパワーにいつも学ばせてもらっています。

ココダイバーシティ・エンターテイメント所属シンガーソングライターによるライブ

 

海東:所属タレントの一人に義眼Vtuberの「瞳美コッコ」ちゃんがいると伺いました。デビュー後の視聴者からの反応などもあわせてご教示いただけますと幸いです。

大倉さん:デビュー当時、Vtuberが出始めの時期でした。1か月もかからず2万人フォロワーを達成し、注目度の高さを感じました。赤裸々なトークと魅力的なアバターで、日本のみならず海外ユーザーも虜にし人気絶頂となりました。

現在も、瞳美コッコ自身のペースで、ゆるく活動しています。

瞳美コッコちゃん コッコちゃんねる【瞳美コッコ】はこちら

 

海東: 実際のタレントさんたちの活動の中で、特に反響のあった活動は何だったのでしょうか?

大倉さん:なんといっても、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」です。開閉会式でのキャストとして4名の出演が決まったことにはじまり、コカ・コーラ社のCMモデル、選手村内での「車いすネイリスト」まで、大活躍でした。

車いすネイリストの活動の様子

 

海東:障がい者・難病者専門のタレント総合プロダクションはまだ日本では数少ないと思います。そんな中で、企業として苦労したことなどあれば教えてください。

大倉さん:設立当時、障がい者・難病者専門のタレント総合プロダクションはまだ目新しく、障がい者の出演に対するギャラ支払の理解が乏しいことを実感し ました。その悔しさから、レッスンを積み重ね、プロのタレント・アーティストとして世に送り込むことを誓いました。

今では状況も変わり、さまざまな企業からのオファーをいただき、契約をできるようになりました。

海東:様々な企業からの注目も集まる中、2021年11月に就労に困難を抱える方がほかの従業員とともに働き活躍する社会的企業を都が認証する「東京都認証ソーシャルファーム企業(※)」として承認、社会的企業と認められ表彰されたとのことですが、このことをどのように受け止めていらっしゃいますか。この表彰を受け、さらに注力していきたい取り組みなどあれば教えてください。

(※)東京都認証ソーシャルファーム企業:自律的な経済活動の下、障害者、ひとり親の方、ひきこもりを経験された方など、就労に困難を抱える方が必要なサポートを受け、他の従業員と共に働き活躍する社会的企業で、東京都の認証を受けた事業所のこと

大倉さん:小池百合子都知事が力を入れているこのソーシャルファーム事業において、第1期目の選考で予備認証から約1年間の審査を経て、認証企業となりました。障がい者・難病者専門のタレント総合プロダクションは、芸能界では初めてです。

社会的企業は、海外、特に発祥のイタリアでは国を挙げ当然の取り組みとされており、韓国でもすでに3000社を超えているとのことです。一方で、都内では40社程度に留まっています。

私自身、就労困難者を雇い入れることで、様々な戸惑いも経験しました。しかし、それもお互いに尊重し合い接していくことで、自分自身にも変化があり、お互いが働きやすい環境ができていると感じています。東京だけでなく、日本全国でこのような企業が拡大していくことを願います。

ココダイバーシティ・エンターテイメントHPより

 

海東:最後に今後の展望を教えてください。

大倉さん:今後は、2025年大阪・関西万博内でのパビリオン活動を目指しています。

空飛ぶ車いす構想」、「Wanpaku」プロジェクトと2つの共創チャレンジの審査を通過し、組織委員会公式ページに掲載中です。

弊社のミッションである「障がい者・難病者のご家庭を豊かにする。」この社会的な使命に向かうために、2025年に実現できるように動いています。

障がいや難病問わず、誰もが輝く機会をつくれるよう道をつくり、後世に託していきたいと思っています。

ココダイバーシティ・エンターテイメント所属タレント

 

障がい者・難病者専門のタレント総合プロダクションはまだ日本において珍しい存在ですが、徐々に注目度が高まり、活躍の場も広がってきていることを感じました。

タレントさんの魅力として、「エンターテイメントを通じて、自分自身と向き合い、それをタレントそれぞれの方法でアウトプットしている」とおっしゃっていたことが印象的で、そのパワーが見ている人たちの心を動かしていくのではないでしょうか。

 

Vol.2ではココダイバーシティ・エンターテイメントが実施するイベント「ダイバーシティ・カフェ品川」の様子をレポートします。実際に所属タレントのみなさんにも取材を行い、それぞれの魅力に迫りました。

取材・文: 海東彩加
Reporting and Statement: ayakakaito

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