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Nov.

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7 Feb. 2019

ご近所企業コミュニティで考える新しい働き方

飯沼 瑶子
副編集長 / プランナー
飯沼 瑶子

汐留企業間の越境学習プログラム「越境ワーカー」発のプロジェクトとして、1月28日に開催された汐留超ワークスタイル会議をレポートします。

【汐留超ワークスタイル会議の目的】
・短時間雇用という選択肢を作ることで、
 理想の「働き方像」について考えるきっかけをつくり、
・超短時間雇用を含めた新たなワークスタイルを、
 汐留の企業が連携して実践することについて企業横断で議論すること



超短時間雇用とは?
そもそも日本における「雇用」は一般的に、
長時間働く必要がある(原則、週40時間)
・職務定義がなく、給与に対する職務の範囲が曖昧
 (「なんでもできる人」であることが暗黙の了解)
となっており、この要件を満たせない人々にとって働くことに対する高いハードルとなっています。

stw画像

出典:ソフトバンク㈱

この解決策の一つが超短時間雇用制度で、例えば週15分からでも、合計週20時間未満でも就業できる仕組みです。
ソフトバンク(株)ではショートタイムワーク制度として既にこの取り組みを2016年より開始しているほか、制度拡大に向けたアライアンス(ショートタイムワークアライアンス)が構築されており、同様のプロジェクトが川崎市・神戸市など自治体にも拡がっています。

 

新しい働き方の仕組み
まず会の冒頭に、キーノートスピーチが行われました。
スピーカーは、超短時間雇用をはじめとする従来の形態にとらわれない雇用制度の在り方に関する研究を行っている東京大学先端科学技術研究センター准教授 近藤武夫先生。

近藤先生が取り組んでいるのが、多様な人々が参加できるインクルーシブな働き方を地域に生み出すIDEA(※)モデルを基にするプロジェクト。障害などにより既存の雇用システム下では就労機会を得づらい人々を排除するのではなく「包括する範囲を拡げる」ことを目的としています。


ideamodel(※)IDEA=Inclucive and Diverse Employment with Accomodation

この概念をもとに実践されているショートタイムワーク制度。
現状は障害のある人々を対象にした制度ですが、例えば子育てや介護といったある種一時的な理由によって時短就労を望む人にとっても機能するかもしれませんし、高齢者の就労など、その他にも既存の雇用形態の中では実現できない新しい働き方を生む可能性もあります。
国際連合広報センターによると、平均余命70歳以上の国の国民は、平均で約8年間、すなわち人生の11.5%を何らかの障害とともに過ごすことになるとのこと。

人生100年時代と言われる中で、多様な働き方についての検討は、誰にとっても関わりのあるトピックではないでしょうか。

 

超短時間雇用制度の可能性と課題
キーノートに続いてパネルディスカッションが行われ、ソフトバンクでショートタイムワーク制度を運用しているCSR統括部木村さん、梅原さん、時間に追われる人のためのアイデアを紹介する「時間がない.com」を主宰する電通の北風さん、同じく電通からcococolorの林編集長が加わり議論が拡げられました。
超短時間雇用制度を導入するにあたってまず必要なのが、「職務定義」
自分の業務内容を細分化し、どの部分が代替不可で、どの部分は依頼可能なのか職務を明確にすることです。
例えば、要資格の業務や専門的な知識を要する分析においては代替不可な一方、その周辺業務にあたるデータ入力や翻訳、校閲などは依頼可能かもしれません。

参加者への事前アンケートの結果、こうした自身の業務の切り出しや他者への依頼、シェアなどについて高いニーズがあること、制度導入に対しても9割の賛成意見が確認されました。

panel
本会議参加者への事前アンケート結果
パネラーは左から、近藤先生、ソフトバンク木村さん、電通北風さん、林編集長


また、企業連携で制度導入することに対しても9割の賛成があり、業務を細分化することで、企業間で連携できる業務内容を明らかにし、地域として制度を活用するような取り組みの可能性が議論されました。
例えば、コワーキングスペースの概念を拡げ、汐留にある複数の企業群を職場と見立て、汐留エリア全体での雇用を仕組み化することができれば、働き方や業務内容の柔軟性・多様性がさらに向上していくことが期待されます。

一方で、アンケート結果のネガティブ意見として、他人に代替可能な仕事という考え方が、仕事の価値に優劣をつけ、価値の低いものをシェアするようなネガティブなイメージに感じられるという懸念も上がりました。
これについては、それぞれ固有の能力とミッションを持ったチームとして1つの仕事を捉えていくような考え方など、仕事をシェアしていくことをいかにポジティブに捉えていくかが課題として議論されました。

今すぐに実現可能かは一旦さておき、「超短時間雇用」が実際に取り入れられることになったら…どんなことに取り組むと良いか、最後に参加者全員で行われたワークショップからのアイディアも紹介したいと思います。

workshop.res

『幸福度マッチング』
自分にとって価値があるものと他人にとって価値があるものは違うという視点から、好き/得意/チャレンジしたい業務を個々のワーカーの「幸福度」の概念で数値化し、業務のマッチングを行うという案。

『地域の共通ポイント』
細分化された業務内容のマッチングサイトを立ち上げ、業務を委託・受託した両者が業務完了後にお互いを評価する。評価によって得たポイントは地域通貨として活用できるようにするという案。

『地域協働の仕組みづくり』
地域の企業連携を加速するために、マッチングを行うための仕組みやそのための組織(ワーカー集団)の結成、地域企業に共有可能なシェアオフィスなどのスペースを確保するという案。

その他にも企業混成のチームで各参加者が自分のできることを考え、多様性のある働き方を円滑に繋ぐための工夫や仕組みづくりについての、様々なアイデアが検討されていきました。

 

仕事は「幸せの集合体」
最後に各チームの多様な議論やアイデアを共有した上で、「仕事を幸せの集合体と捉える」という1つのコンセプトが取りまとめられました。

これは、この日の議論の中で共通して見られた視点。
仕事を「役務、労働サービス、報酬に対する義務」など負荷・負担として捉えるのではなく、「幸せの集合体」という考え方をベースに、前向きで積極的な意見交換が行われていました。
職務定義によって業務内容を明確にし、細分化する中でどんなことが自分にとっての幸せかが見えてくる。また他の誰かにとっての幸せがどこにあるかも見ていこうとする。こうした非常にポジティブな仕事の捉え方や幸せの捉え方があれば、仕事をシェアすることは多くの人と幸せを共有しあうというポジティブな行為として、多様で幸せな仕事の掛け合わせを生んでいくのではないでしょうか。

様々な企業からの参加者の方が、議論を通じて打ち解けていかれる様子も印象的で、第2回の汐留超ワークスタイル会議に向けた展開に期待が感じられるスタートとなりました。

 

取材・文: 飯沼瑶子
Reporting and Statement: nummy

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