女子サッカー界の『メンズ』って?
- プランナー
- 河合はるか
女子サッカー界におけるmen’s とは。
年明けの1/11。
その頃にドイツでサッカー選手として活動していた
下山田選手に私は出会った。
≪写真右が下山田選手:ドイツにてサッカーをプレーしていた頃≫
下山田選手(以下、愛称を込めて「しも」)はとても気さくに、
「今」の自分の状況を語ってくれた。
■女子サッカー選手であること。
■ドイツという異国でサッカーをプレーしていること。
■自分自身が「メンズ」であること。
女子サッカー界の暗黙の了解?「メンズ」とは
女子サッカー界では、『メンズなんだ。』と言えば、
『ああ!そうなんだ~』で、あるコトが相手に伝わる。とのことだが…
河合:しもさん。早速ですが、『メンズ』ってなんですか?
しも:自分でもハッキリとは、言い合せないけれど、
『女性が好き』とか、『ショートカットで男性らしい』ということが
一発で伝えられる、
女子サッカー界ならではのセクシュアリティを表す言葉
だと思っています。
河合:『メンズなんだよね。』って初めて聞いた時は、
「何それ?!コミュニティ内の造語!?」と思っていたのですが、
今では、フレキシブルなカミングアウトワード
だと感じています。
でも考えれば考えるほど、複雑ですよね…。
≪7時間の時差を越え、「メンズ」について何度か討論しました。≫
※本当に2人で2か月程、『メンズ』ってなんだろうと議論したのですが、1つの概念に収まらない。
それが『メンズ』の良いところでは?と話はまとまりました。
いや、まとまってないゾ。誰か教えてください。
『LGBTはセクシュアリティ』『メンズは、まだ1つの言葉』
しも:(上文に続き)
すごく複雑だと思います。『メンズ』=○○っていう概念が、
女子サッカー界でも、共有認識ではないので。
『メンズ』は、自分の要素を細かく伝えるというよりは、まず
「女の子が好き!」ということを伝える言葉なのかもしれないです。
だから、『メンズ』ってセクシュアリティの1つなの?
と聞かれた時は、
セクシュアリティではなく、セクシュアリティを表す言葉の1つ
だとお話ししています。
河合:うっ…混乱してきました(笑)
メンズはセクシュアリティではなく、自分を伝える1つの言葉
ということですか?
しも:あくまで女子サッカー界の言葉なので、
社会的に『メンズなんだ!』と言っても伝わらない。
だから、現時点では、セクシュアリティではないと思っています。
あくまで『女性が好き』『男性のような格好良さ』が
暗黙の了解の大きな要素で、そこから引き算したり足し算したり、
「メンズ」は、「自分」を知ってもらうための
“入り口”のような感覚ですね。
河合:なるほど!
そうすると、足し算や引き算をしていく上で、
メンズの中に髪が長い人がいることも、
女性らしい格好のメンズもいても良いような気がしてきました…!
しも:自分もそう思います。
ですが、メンズ文化が根強過ぎるが故に…
「メンズ」に関する性表現へのステレオタイプは強いかも。
女子サッカー界では、昔から『メンズ』文化があるため、
性自認や性的指向には、寛容なんですけどね。
河合:今では、多様性=ダイバーシティの考え方においても、
身体の性や、心の性、表現の性というように、
性のグラデーションが重要視されてきていますよね。
そんな中で、メンズは今…
≪性のグラデーションのイメージ:筆者の考える性のイメージ≫
しも:社会的には
多様性の波に取り残されているのかもしれないです(笑)
河合:「FTMだから男らしくしろよ~!」というような、
界隈内での縦の差別というか…
『みんなありのまま。』で良いと思います。
しも:「そんなのメンズじゃない!」という人もいるかもしれないけど、
人それぞれの魅力があっていいし、
「メンズだからって髪が短くないといけない!」
という、ステレオタイプは息苦しいよなと感じています。
河合:『メンズ』もグラデーションしていくといいですね!
『メンズ』について是非、今度、女子サッカー界関係者で
討論しましょう!
しも:それは楽しそう!でも、どんどん文字では表現しにくい
深い話になってしまいそうですね。笑
河合:本当ですよ!!!
ドイツから5月に帰国。日本のなでしこリーグでプレー中
≪日本に帰国後すぐに、プライドハウスが行う講演会にスピーカーとして参加≫
河合:そういえば、しもは、5月から日本に帰国したと思いますが、
このタイミングの帰国には何か理由があったのですか?
しも:あります。オリンピックを前に、日本で多様性を取り上げる
動きが盛り上がっているのをドイツで感じ、
「ああ、この波が、ただの波で終わっていくのはもったいない」と
思ったからです。
アスリートだから。
そして
LGBT当事者であることをカミングアウトした自分だからこそ。
『スポーツ×多様性』を背景に発信できることがあるのでは?
と思ったのが最大の理由ですね。
最後に、熱い思いを語ってくれた、下山田選手。
「LGBTアスリートとして、自分らしくプレーするために。
LGBTアスリートが、自分らしくプレーできるために。」と。
「みんな違うから、それでいいんだよ。」
サッカーに限らず、スポーツをしているチーム・指導者へと伝えていく。
≪下山田選手プロフィール≫
女子サッカー選手。慶應義塾大学卒業後、ドイツに渡りブンデスリーガ2部のSVMeppenで2シーズンプレー。2019年5月に帰国し、現在は、なでしこリーグ2部/スフィーダ世田谷所属している。また、今年春に女性のパートナーがいることを世間的にオープンにした。
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