“みら研”のつながる場で社会課題をもっと身近に感じよう
- プランナー
- 吉澤彩香
ダイバーシティ&インクルージョンに関する活動がメディアに取り上げられる機会が増える一方で、社会課題を身近には感じなかったり、どのようなアクションが必要かピンと来ない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
文部科学省の有志で集まったメンバーからなる『みら研』というプロジェクトでは、“つながるチカラ”を大切に、世の中に対してみんなでビジョンを描きアクションを起こすことを目指し、シンポジウムやワークショップ等の活動を開催しています。
「ともにいきるということ~ちがうってなんだ?ふつうってなんだ?~」をテーマに、ゲストスピーカーを招き、「多様性やインクルージョンとはなにか」について、ゆるーく対話しながら気づいていこうという取り組みがはじまりました。
誰でも参加可能ということで筆者も参加してきた様子をレポートいたします。
司会進行の、みら研代表 木村直人さん。
多種多様なゲストトーク
今回は、以下、4名のゲストスピーカーが登壇されました。
- 永田龍太郎さん(渋谷区 男女平等・ダイバーシティ推進担当課長)以下、永田さん
- 鈴木茂義さん(小学校教員、LGBTや教育に関する講演活動を実施)以下、鈴木さん
- 栗栖良依さん(マイノリティと共に多様性と調和のある世界の実現を目指すSLOW LABELのディレクター)以下、栗栖さん
- マリウシュさん(ポーランド出身で日本で映像制作をされている)以下、マリウシュさん
最初のトークセッションは、永田さんと鈴木さんからLGBT当事者として直面した経験をもとにお話が始まりました。
小学校でのLGBTの講義にて、生徒たちに自分たちの職業を当ててもらうゲームをしたそうです。お笑い芸人、IT関係、スタイリストなど色々な意見が出たなかで、「実は、わたしは教員でゲイです」と言うと、生徒たちが言葉を失い、気まずい空気になったそうです。このように生徒たちにとってLGBTが身近なことではないが故、無意識に標準を決めつけてしまうことが課題で、子たちには“見えていないことへの想像力”をつけられるように、LGBTの理解を推進していきたいというお二人のお話でした。わたしもお二人の肩書だけで、真面目そうな人格をイメージしてしまいましたが、実際には気さくでユーモアのあるお二人のお話を聞き、別のベクトルから自分のコンシャスバイアスに気づきました。
続いてのゲストスピーカーは、栗栖良依さんです。
障がい者の特別な能力と、クリエイティビティの力を掛け合わせ、アートの力で課題を解決する取り組みをご紹介されました。障がい者が社会進出でき、健常者は柔軟に受け入れられるように、お互いが歩み寄りコミュニケーションをとれる環境づくりが大切で、栗栖さんはご自身も障がいを持たれているために、実体験から「東京は不便だ!と思った」と仰られていたのは印象的な視点でした。また、ソーシャルサーカスという誰でも参加できるサーカスのワークショップも開催されています。ソーシャルサーカスは以前わたしも取材をさせていただいたので合わせて読んでみてください!(→ソーシャルサーカスに関する記事)
最後のゲストは、マリウシュさんです。
外国人の目線で、日本の言語対応や環境などの不便さについてお話されていました。日本人は外国人を見ると逃げてしまう人が多かったり、アプリなどの翻訳ツールは進歩しているものの、居酒屋の手書きメニューや縦書きの表示を読むのは難しく、だからこそ、もっと日本人が楽しく英語に慣れる環境があると良いとお話されていました。「日本はいい国だった!」と海外から来た方々に思っていただけるように、マリウシュさんのように当事者ならではの視点を参考にして日本を更に魅力的にしたいです。
ゲストスピーカーのパネルディスカッション
わたしの驚きポイントは、ゲストスピーカーのお話をグラフィックレコーディング(文字や絵をつかって要点をまとめること)でその場で要点をまとめて、ゲストトーク後のパネルセッションに使用されていたことです。振り返りも分かりやすく、パネルをベースにみんなさんディスカッションされていました。イラストもかわいい!
パネルディスカッションを経て、課題解決には2つのソウゾウ(創造と想像)が必要で、共感できなくても共存はできること。そして、アクセシビリティを持たない人に対する創造力を持つにはビジビリティ(可視化)が必要であるという気づきがありました。それぞれの課題は違っても、意外と根本的な問題点は共通してるのですね。
当事者のリアルな体験談や活動を直接聞けるのは、SNSやメディアを通じて知ること以上に理解が深まり課題を身近に感じることができ、また、その場のディスカッションで新しい発見があったのはライブならではです!
終了後の交流会では、お酒や軽食も交えて自由に接点がもてるのは、“ともいき”のコンセプトである「つながるチカラ」感がありました。
リアルなお話を聞いたり、誰かと対話できるコミュニティとして、継続的にみんなが取り組める活動になるように、是非、肩の力を抜いてゆるーく“ともいき”にご参加くださいませ!
■みら研さんのイベント告知■
8月5日(月)みら研ともいき企画第2弾として、魂を揺さぶるトークライブを開催します。ゲストにお迎えするのは「世界一明るい視覚障害者」、成澤俊輔さん。自ら会社を経営し、障害者の雇用を進めるとともに、彼らを勇気づけるメッセージを与え続けています。心が熱くなること請け合いのライブ!是非皆さんお越しください。参加希望の方は、下記こくちーずよりお申し込みください!!
注目のキーワード
関連ワード
-
こども食堂Kodomo Shokudou
地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供する場。「子どもたちへの食事提供の場」としてだけではなく、高齢者や共働きの家族などが集まって食事をとることも可能で、地域のコミュニ…詳しく知る
-
特例子会社Special subsidiary company
障害者の雇用促進・安定を目的に設立される子会社。障害者に特別に配慮するなど一定の条件を満たすことで、特例として親会社に雇用されているものとみなされる。企業側は、障害者雇用率制度で義務づけられている実雇用…詳しく知る
-
ユニバーサルツーリズムUT
すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行を目指しているもの(観光庁HPより)。http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisak […]詳しく知る
関連記事
この人の記事
-
5 Jun. 2020
モンゴルの誰もが参加できる社会づくり
- プランナー
- 吉澤彩香
INTERVIEW, インクルーシブ・マーケティング, グローバル, 障害者差別解消法, インタビュー, 文化, 福祉, 障害,