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17 Apr. 2020

同性パートナーシップ制度で具体的に得をしたこと 〜半年篇〜

福居亜耶
CMプランナー/コピーライター
福居亜耶

 地方自治体で制度化されている「同性パートナーシップ制度」。2020年4月1日現在で、導入自治体は47となり、人口の1/4以上をカバーしています(※1)。

 実は、この記事の筆者である私も、2019年秋にこの制度を利用して、同性パートナーシップ証明書を交付してもらいました。それから半年で、具体的にどんな得があったのか、私個人の実体験をレポートします!

 

■同性パートナーシップ制度とは

 はじめに「同性パートナーシップ制度」について、簡単に説明します。

 まず前提として、日本では現時点で同性婚が認められていません。男女は「結婚」すると法的な権利保障を受けることができますが、同性カップルにはそれらの権利保証が全くないのです。

 そこで、生まれたのが同性パートナーシップ制度。同性カップルに対し、二人の関係が婚姻に相当すること認め、自治体が独自の証明書を発行する制度となります。

 ほとんどの自治体では、パートナー同士の宣誓書を提出すれば証明書を交付してもらえます。私が交付してもらったのも、このタイプ。一方、渋谷区では、同性パートナー同士の2人が公正証書で交わしたパートナーシップ契約に基づいて証明書を発行します。つまり、法的裏付けのある公正証書をベースにしているんです。

 ちなみに、私の受領書(同性パートナーシップ証明書を発行した証である小さなカード)の裏には、こんなことが書かれています。

 

この受領証の提示を受けられた方へ

この受領書は、(自治体名)として、お二人が互いを人生のパートナーとし日常生活において協力しあうことを宣誓されたことを証することにより、お二人がいきいきと輝き、活躍されることを期待するものです。この受領証の提示を受けられた方は、上記の趣旨を十分にご理解くださるようお願いします。

 

 これを読めばわかるように、あくまで「趣旨を十分に理解するように」お願いをしているものになります。渋谷区の証明書にも、ほかの自治体の証明書にも、法的拘束力はありません。

 

■できるようになると言われていること

 同性パートナーシップ制度に法的拘束力はありませんが、この制度を利用すると、こんなことができるようになると言われています(※2)。

・ケガで入院したとき面会等が許可される

・公営住宅など入居できるようになる

・賃貸住宅に同棲しやすくなる

・生命保険の保険金を受け取れるようになる

・住宅ローンが組めるようになる

・家族用のクレジットカードが組めるようになる

・通信キャリアなどの家族割が適用になる

 ちなみに私とパートナーが、同性パートナーシップを結ぼうと思ったきっかけは、「ケガで入院したとき面会等が許可される」から。重傷や大病で“家族以外は面会拒絶”になった場合でも、同性パートナーシップ証明書があれば家族として面会できるわけです。有事にも、備えあればうれしいな。

 さて、そんなこんなで同性パートナーシップを結んでまだ半年ですが、私が具体的に恩恵にあやかったものはなんなのか…?!

 

■半年間で具体的に得をしたこと

①携帯電話の家族割が適用になった!

 先ほど書いた“できるようになると言われていること”の中だと、私が現時点で具体的に得をしていることはこれだけです!同性パートナーシップ証明書を交付してから3ヶ月後に、パートナーが私のキャリアに移動するかたちで、2人とも家族割が適用になりました。

 事前にキャリア会社のサイトで、同性パートナーシップの証明書があれば家族割が適用されることを確認してから携帯電話ショップに行きました。ただ、接客担当の方は、同性パートナー同士で家族割が適用されることをご存知なかったようで、受領証を見せても…おやおや…ピンと…来ていない…。

 そのあとバックヤードに行かれて「確認できました!家族割、大丈夫です!」と言われ、晴れて“家族”と認められました。

 なお、金額でいうと、ひと月に1000円/1人の割引が適用されているので、1ヶ月で2000円の得。1年で24,000円の得。10年で240,000円の得。私が120歳のときにパートナーと同時に老衰でポックリ大往生した場合は、それまでに2,208,000円も得していることになります。新車が買えるぞ!

 

②会社の福利厚生が適用になった!

 これは、限られた人のみになりますが…。わたしが勤める企業では、同性パートナーシップ証明書を提出することで、同性パートナーでも、配偶者と同じような休暇・休業や福利厚生サービスを受けられます。結婚休暇ももらえますし、パートナーの親御さんの介護休暇も取得可能です。ただし、慶弔金はもらえません。ほしい〜〜〜〜。

 なお、パートナーの勤務先でも、同性パートナーシップ証明書を提出すると、同じように休暇・休業や福利厚生サービスを受けられるそうです(ただ、未申請)。

 

③親へカミングアウトできた!

 これは二次的なものになりますが、同性パートナーシップを結ぶにあたって親へカミングアウトできました。大切な人を紹介でき、2人で生きていくことを親に認めてもらえて、超超超超うれしかったです!

 

■おわりに

 以上、同性パートナーシップ制度で具体的に得したことをレポートさせてもらいました!なお、この記事でご紹介した内容は、あくまで私個人の体験談となります。全員にあてはまるものではありませんので、その点ご留意ください。

 ちなみに、“できるようになると言われていること”の他の項目ついての現状は、下記の通りです。

・ケガで入院したとき面会等が許可される⇒幸いなことに機会なし。

・公営住宅など入居できるように⇒いまのところ入居を検討していません。

・賃貸住宅に同棲しやすくなる⇒証明書なくても可能でした。

・生命保険の保険金を受け取れるように⇒検討中です。

・住宅ローンが組めるように⇒いまのところ利用なし。

・家族用のクレジットカードが組めるように⇒楽天カードだと証明書が無くても作れたので、すでに持っていました。ありがとう楽天さま!

 「半年篇」とわざわざつけているので、また機会があれば(そして、パートナーとも仲睦まじくいれば)、期間を置いてレポートできればと思います。最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

 

※1 一般社団法人MarriageForAllJapan – 結婚の自由をすべての人に 『パートナーシップ制度、47自治体に拡大。人口の1/4以上をカバー! 』http://marriageforall.jp/blog/20200331/より

※2 STOCK LGBTQ+『2020年最新!パートナーシップ制度を導入している自治体まとめ。(更新日:2020年3月)』 https://3xina.com/rainbow/post-805/より抜粋

取材・文: 福居亜耶
Reporting and Statement: ayafukui

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