「Braille Neue」発明日記。そのはじまり。
- 共同執筆
- ココカラー編集部
はじめまして。発明家の高橋鴻介(たかはしこうすけ)と申します。
自分で「発明家」って名乗るのは、ちょっと恥ずかしいですね。
普段は企業に属して、広告や新規商品開発などの提案をするプランナーの仕事をしていますが、学生の頃からものづくりをしていたこともあって、プライベートで「今まで世の中になかったもの」をテーマに制作活動をしています。しばらく自分が作ったものについて、記事を書かせていただきますので、これからよろしくお願いします。
点字と墨字が一体になった文字「Braille Neue」
世の中にある点字、皆さんは読めますか?
難しいですよね。僕は全然読めませんでした。
点字とは、目が不自由な方が使う文字のことで、今から約200年前にフランス人のルイス・ブライユさんが開発したと言われています。タテ3点×ヨコ2点の6点で1文字を表すというシステムになっていて、指で触ることによってそれを読みます。目が不自由な方が便利になるように、エレベーターの中や、階段の手すり、お手洗い、駅の構内図など、実は色んな所に点字が設置されています。
僕はこの「点字が読めない」という気づきをきっかけに、点字に墨字(目で読む文字のこと)を重ね合わせた書体「Braille Neue(ブレイル・ノイエ)」を作りました。それは、見える人も見えない人も、同じ場所で情報を共有できるインクルーシブな文字です。
文字はバリアになっている。
開発されてから約200年の間、点字は「視覚障害者専用の文字」でした。
そして墨字は開発されてから今まで「晴眼者(目が見える人)専用の文字」でした。視覚障害者と晴眼者は同じ場所に暮らしながら、別のツールを使い、違う場所で情報を得ています。実は、文字というツールがバリアになって、2つのコミュニティが分断されているのではないかと考えました。
文字は人に情報を伝えたり、共有するためのツールであるはずです。だとしたら、文字を通じて人をつなぐこともできるはず。Braille Neueを通じて、点字と墨字という2つの文字を1つにすることで、今まで別々だった2つの世界をつなぐきっかけになるのではないでしょうか。1つの言語や、1つの文字で、今までよりたくさんの人とつながることができるのだとしたら、それはとても素敵なことだと思うのです。
…で、どういうきっかけだったの?
さて、ここから開発のプロセスを話していこうと思うのですが、とっても長くなってしまうので、今回はここで一区切り。
次回は書体の開発に至ったきっかけをお話したいと思います。
ではでは。
執筆者 高橋鴻介
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