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23

Jan.

2021

event
1 Dec. 2020

CRF2020-そだてる人が、そだつ場所-セミナーレポートVol.3

小川百合
クリエーティブ・プロデューサー
小川百合

NPO法人Ubdobe※が主催するCommunity Roots Forum 2020 Online -Autumn- 今回のテーマは「教育・保育」。教育・保育・子育てに携わる
ゲストがオンライン上で、これからの時代の教育・保育について語り合いました。4時間以上にわたる熱いセッションのレポートを3回に分けてお届けします。

 

■Talk Session4 では現役の保育士でありSNSインフルエンサーの
てぃ先生が保育士という立場から自分らしい働き方について語りました。

 

―男性保育士として働く難しさはありますか?

 

てぃ先生
男性保育士は全体の3%くらい。女性は何かあってもフォローし合えるが、男性は何かしたら、いいことも悪いこともすごく目立つ。なので、
男性保育士は周りからどう見られるかという意識は必要だと思う。
また男性ということで、体を動かすダイナミックな遊びをしてほしいと
言われるが、女性の中にも運動が得意な先生もいるし、男性だから、女性だからこの遊びというのはおかしく、それぞれが得意なことをやればいいという思いがある。だけど、保育士はマルチに全部できないといけないとこだわっている園がほとんど。

日本の今の子育ても同じで母親が誰かに頼ることを悪とされ、自分のことは自分でやれという風潮があるが保育士も同じ。

 

―なぜ保育士はマルチプレーヤーを求められるのでしょうか?

 

てぃ先生
人手不足だから。配置基準が少なすぎるから、大人一人に対して子どもの数が多すぎる。今の状態で国とか自治体が求めている質の高い保育を目指すのは間違っていると思う。

 

―質の高い保育とはどういう保育ですか?

 

てぃ先生
より個々を大事にすること。ひと昔前は一斉保育だった。それを実践するには個々に寄り添う余裕が必要になってくる。少ない人数、安い給料ではモチベーションが上がらないという現状がある。賃金が安いことは理解し、みんな保育士になっているが求められていることと不釣り合い。

保育士の仕事の負担の軽減が必要。連絡帳のデジタル化やテンプレートの使用など効率化するべき。保育士でなくてもできる仕事まで保育士がすることにこだわっている。

 

―保育士にしかできない仕事とは何ですか?

 

てぃ先生
まさに子どもに関わること。子どもに目を向けること。子どもの気持ちに寄り添うこと。パパママでもできる部分はあるが、質が違う。

 

―どういう違いがあるのでしょうか?

 

てぃ先生
子どもの発達を後追いするか、先取りするかが保護者と保育士の違い。
保育園では子どもの発達を見て先回りし、より伸ばそうとしていく。

 

―一般社会に理解されていないと思います。子どもたちを預かる人というところで理解が止まっているのでは?

 

てぃ先生
保育業界がクローズすぎて、アウトプットが足りないと思う。自分の子に保育士が何をしてくれたのか、保護者ですら全く見えないので、そこが
問題。
なので、子どもと遊んでいるだけと思われても仕方ない。だから、個人でも保育園でも発信を続けている。僕の保育園では見守りカメラもつけて
いるので、保育士がやっている様子をいつでも見られる。

 

 

―てぃ先生が大事にしたいのはどんな保育ですか?

 

てぃ先生
自分がしたい保育は、自分に余裕がないと不可能。
保育園の子どもたちを幸せにしたいのなら、保育士が余裕を持ち、ここで働いていて幸せだと思える環境でないかぎり、そこにいる子どもたちも
幸せにできないと思う。表面上は幸せに見えても、裏で保育士が苦しんでいたり、涙していたりするのなら、子どもも幸せじゃないと思う。

保護者も幸せで、子どもも幸せで、保育士も幸せという三者の幸せが
バランスの良い状態であれば、その保育園は素晴らしい。
だから、まずは保育士が幸せじゃないといけない。

 

―自分にとって居心地が良く、理念が合う保育園を見つけるのは大変ではないですか?

 

てぃ先生
労働環境がしっかりしている園に入ることが大事だと思う。理念が現場に生かされていないと違和感を持った時に、余裕があればこうしてみよう
というパワーが生まれる。保育云々ではなく、自分の人生が幸せになるかどうかで選ぶべき。

 

―違和感を諦めにかえないことが大事ですね。

 

てぃ先生
違和感を覚えられる心身の余裕がないと疲弊していくだけ。
自分自身の幸せなんて考える余力がなくなっているということ。
僕は自分の幸せを考えられるから髪も金髪にする余裕もある。(笑)

 

―金髪にしておこられませんか?

 

てぃ先生
怒られない。(金髪の)理由をちゃんと話せるから。
金髪もですが、母親に対しても髪型はこうとか、爪はこうとかどうでも
いいと思っている。
保育園は小さな社会というわりに、いろんなことが決められている。
髪は黒とか。多様化と言いつつ、全く自分たちの多様化を認めていない。

 

―自分自身のやりたいことをストレートに発揮できるのはなぜですか?

 

てぃ先生
大前提として子どもが幸せになってほしいというのがある。そのためには自分や、自分のまわりにいる保育士が幸せになってほしい。全国の子どもたちが幸せになるには、全国の保育士が幸せになる必要があるから発信
しなくてはいけないと思う。みなさんは自分の手の届く範囲の人を幸せにするとか、自分自身の幸せを考える。
まずはそこからじゃないでしょうか。

 

 

■Talk Session4を終えて

保育は女性に限られた職業だったという歴史的背景がありますが、職名が「保母」から「保育士」に改正され、男女問わず保育に従事できるようになり20年が経っています。男性保育士は増加傾向にありつつも、まだまだ少ないという現状について、多様な子育てを文化にするためには「女性」「男性」ということよりも、どれだけ「専門性」を持って保育を行えるかが重要という社会の認識も必要だと感じました。ジェンダーによる偏見がないかどうか自分自身にも改めて問われるセッションでした。

 

■すべてのTalk Sessionを終えて

今年、日本の子どもは健康であるが精神的幸福度は低いというデータが
ユニセフより発表されました。

ユニセフ 「レポートカード16」2020
https://www.unicef.or.jp/jcu-cms/media-contents/2020/09/UNICEF-RC16_JPN.pdf(参照2020-11-17)

精神的幸福度の低さは先進国の中で最下位に近い結果です。
子どもが幸せを感じるにはどうすればいいのかを考えたとき、子どもに
対してどのように働きかけるかという視点で考えてしまうのではないで
しょうか。しかし、「まずは親や子供に関わる大人が自分自身の幸せを考える」という意見がフォーラムの中で何度も出てきました。
自分のことよりも子ども、自分のことよりも仕事など、自分のことを後回しにして来た人にとって、とても勇気づけられる言葉だと感じました。

自分自身の生きがいや幸せを見つけるのは、どんな立場や年齢の人にとっても大切なことです。自分の幸せと、自分の周りの人の幸せを考えながら、互いに育み合うことをまずは身近ところから始めてみる。それが、日本の子どもたちの幸福へ繋がっていくように思いました。

 

Ubdobe  あらゆる人々が積極的に社会参加できる楽しい世の中を目指す「医療福祉エンターテインメント®︎」集団。”福祉というパスポートを持って旅に出よう”「福祉留学」をオンラインにて開催するなど活動は
多岐にわたる。

https://cococolor.jp/crf2020_1
https://cococolor.jp/crf2020_2

 

■トークゲストプロフィール

てぃ先生(保育士/子育てアドバイザー/SNSインフルエンサー)

 

■司会 / MC

三木 柚香 (東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍/NPO法人Ubdobe ローカル事業部)

 

 

 

取材・文: 小川百合
Reporting and Statement: yuriogawa

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