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29

Nov.

2020

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3 Jul. 2020

コミュニティ・ルーツ・フォーラム2020 オンラインセミナーレポートVol.1

小川百合
クリエーティブ・プロデューサー
小川百合

NPO法人Ubdobe※が主催するCommunity Roots Forum 2020は、新しい福祉とまちづくりの仕掛け人たちを通し、人口減少、高齢化が進む現代の地域のまちづくりにおいて重要な地域包括ケアを考えることを目的に開催されました。今年はオンラインでの開催となり、300人近い参加者が日本各地から繋がりました。今回は4時間にわたるフォーラムの前半のレポートをお届けします。

 

■CRF2020 ONLINE タイムテーブル

 

  
■第一部
第一部は、デザインを軸に全国各地で活動するstudio-L 山崎 亮さんと30年間都市開発に携わってきた東急 東浦 亮典さんによる「まちづくり」を料理に例えながらのトークセッションでした。

―街をつくるための素材とは?

山崎さん
僕らの立場から言うとしたら、そこに住む方々です。住宅や公園があってもそこに人がいないとそれらはいらない。でも、その素材さえ揃えば生活できるかというとそうではなく、やはりそこでのコミュニティという人の繫がりが大切。そこにいる人たち自身が何か活動を起こすことや、生活や人生を構築して動きだすことがまちをつくる原動力になっていく。

東浦さん
東急沿線という500万人が住む都市の開発をしているので、地域の反感を買うようなことはできない。土を耕して、タネをまいて肥料をやってじっくりと肥沃な畑を作り、成果物を収穫するというような農耕型の都市開発をしている。ただ最近は農耕型ではなく、先輩が植えたものを刈り取る、自分が植えたものを後の世代が刈り取るという林業型のように感じている。

(右上:MC貞松さん / 左下:山崎さん / 右下:東浦さん)


―街づくりにとって福祉はどんな素材ですか?

東浦さん
あまり意識してこなかったが、2012年頃に新興住宅地が急速に高齢化したことに対し、新しい建物を建てて街をリニューアルするのではなく、今あるものを活かし、行政も部署を分けずに市民と共同で自立できる郊外をどうやって作るかを議論した。その際、福祉の部署の方が入ったことで、子育て層、高齢者、障害者などすべての人にとってのサスティナブルな街づくりを考えた経験から福祉を意識するようになった。渋谷の超福祉展※も福祉をかわいそうなものとしてではなく、「明るくかっこよく」をテーマに情報発信をしている。超福祉展を開いたことで、福祉業界だけでなく異業種の方にまで関心が広がった。

山崎さん
公共空間のユニバーサルデザインをしている設計事務所で初めて携わったコミュニティデザインの仕事が福祉だった。公園を設計するときに最高にユニバーサルな状態にしても公園まで来れない人や、来れても目が見えないなどの理由で楽しみが半減してしまう人がいることをボスが課題に感じ、公園までのお迎えをし、公園を一緒に周って家に送る「ヒーリングガーデナー」というサポートボランティアを作ることに。その組織作り担当として様々な障害を持つ人たちと話し合いながら、その方々をサポートする側の養成を行った。福祉が入ることで公園の可能性が広がった。

―おふたりが考えるまちづくりのレシピとは?


東浦さん
アフターコロナのまちづくりレシピ
〇食べたくなるおしい街を想像しよう!(ホリスティックなまちづくり)
〇柔軟に一人何役もこなしていこう!(今ある資源を有効に使い倒す)
〇身近な仲間と楽しくわかちあおう!(ソシエダ・ガストロノミカ)
スペイン・バスク地方のソシエダ・ガストロノミカ(会員制美食倶楽部)みたいなコミュニティが日本のどこにでもあるような状態が理想。

山崎さん
料理を作るときは2種類ある。作りたいものの材料を買ってから作るか、冷蔵庫を開けて、その中にある材料をアレンジして作るか。街づくりは後者に近い。なので、冷蔵庫の中にどんな材料が入っているかを知っていないとまちづくりは進めない。自分の街のことは知っているかもしれないが、もう一度地域の中をしっかり見てみると新しい発見や人がみつかる可能性がある。一人一人が料理人になっていくことが必要。そのなかで福祉の領域に携わっている人にはできることが相当量あると思う。

 

■第二部
第二部は、greenz 小野 裕之さんをモデレーターに、池田博愛会 島和也さん、シルバーウッド 大谷匠さん、ほっちのロッジ 西川理奈さんによる福祉に関わる若手の方々のホンネのディスカッションでした。

大谷さん
事前の打ち合わせで、こういう活動をする人は信念が繋がっていると感じた。ほっちのロッジも建築に力を入れていて、シルバーウッドも建築がキーワードなので共感している。

―共通する信念とは?

大谷さん
生活の延長線上に福祉があるというところ。

西川さん
シルバーウッドの建築が素敵。高齢者が本当にレベルの高い暮らしをしている。島さんは資格を持たず、福祉の現場でおもしろい活動をしている。福祉は資格がなくてもできる仕事であってほしいと思う。(軽井沢への移住に対して)ほっちのロッジのメンバーに軽井沢出身の人はだれもいないので、孤独感は感じない。地域の人と出会い、繋がっていくのが原動力。

―福祉の仕事は多岐にわたりますが、自分は何の仕事をしているという感覚が強いですか?

西川さん
看護をしていて思うのは「左手を添える」感覚。その人が作っている人生を進めて行けるように、医療の正しさを伝えるのではなくその人の選択に手を添える。

大谷さん
看護師だけど、看護はやっていない。だけどすごく看護的であり、生活が混ざっている。声を出して届く範囲の人たちと幸せに雑談できる空間を自分のために作っている感じ。

島さん
資格をもっていないので、介護士ではない。営業の仕事や広報の仕事をしていると思う。福祉の仕事のイメージが三好市は良くなっていて、当たり前にある仕事。ただ宣伝活動が福祉は弱いと思うので発信を担っていきたい。

(右上:大谷さん / 左上:島さん / 右下:西川さん / 左下:小野さん)

―福祉の仕事について周りからの見られ方に対する違和感はありますか?

大谷さん
大変、きついと思われるか、聖人っぽく崇められるか。でも、どちらでもなく、生活感のある仕事をしている。福祉のやっていることが世の中にあまり知られていない。福祉はハイコンテクストな仕事なので、数字で表しにくく、自分でも福祉の魅力を伝えるのが難しい。

西川さん
福祉の仕事は大変だとか、偉いねとか言われがち。テンションが下がる。 

島さん
周りに福祉職の人が多く、大変みたいな見方をする人がいない。ふつうに福祉の仕事がある。

 

■前半を終えて

地域によって福祉の捉えられ方にギャップがありましたが、この違いはその地域でどれだけ「地域包括ケア」が進んでいるかの指標になるように感じました。

そもそも、「福祉」とはなんでしょうか。
なんとなく分かるようで、いざ説明しようとすると難しい言葉ですが、すとんと心に落ちる言葉がディスカッションの中にありました。

「福祉は生活の延長線上にある。」

このように福祉を捉えると、福祉の仕事観についても、「あたり前にある仕事」「幸せに雑談できる場所を作っている」という考え方にとても納得しました。福祉ができることは多岐にわたり、資格の有無に関係なくさまざまな新しいチャレンジができる。日本での福祉の捉えられ方が変わり、地域や街づくりを支える存在となれば地域包括ケアへのアクションに繋がっていきそうです。

Vol.2へつづく。

 

 

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Ubdobe 
メディカル・ウェルフェア・テクノロジーの領域を縦横断し、あらゆる人々の積極的社会参加を推進する「医療福祉エンターテインメント®︎」集団
https://cococolor.jp/Ontenna_Ubdobe 
https://cococolor.jp/1469

※超福祉展 
東京・渋谷を基点に、世界各地の超福祉な人たちの活動や、ダイバーシティやSDGsに関する知見やアイデアをシェアするイベント。
https://cococolor.jp/ototakeproject 
https://cococolor.jp/fudanquest_hikarie

 

■トークゲストプロフィール

山崎 亮(studio-L代表 / コミュニティデザイナー / 社会福祉士)

東浦 亮典(東急株式会社 執行役員 渋谷開発事業部 事業部長)

大谷 匠(株式会社シルバーウッド 高齢者住宅事業部 兼 VR事業部 / 看護師

西川 理奈(軽井沢町・ほっちのロッヂ / 町に出歩く看護師)

島 和也(社会福祉法人池田博愛会   地域交流拠点 箸蔵とことん 企画担当)

■モデレーター

小野 裕之(greenz  ビジネスプロデューサー) 

 

取材・文: 小川百合
Reporting and Statement: yuriogawa

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