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Sep.

2021

event
30 Nov. 2020

CRF2020-そだてる人が、そだつ場所-セミナーレポートVol.2

小川百合
クリエーティブ・プロデューサー
小川百合

NPO法人Ubdobe※が主催するCommunity Roots Forum 2020 Online -Autumn- 今回のテーマは「教育・保育」。教育・保育・子育てに携わる
ゲストがオンライン上で、これからの時代の教育・保育について語り合いました。4時間以上にわたる熱いセッションのレポートを3回に分けてお届けします。

 

■Talk Session2 では保育園や幼稚園に「芸術士」と呼ばれるアーティストを派遣しているアーキペラゴ 三井文博さんと、絵本の魅力を発信し続けるニジノ絵本屋 いしいあやさんがアートと絵本というボーダレスな世界の魅力について語りました。

 

いしいさん
10年前にスタートしたニジノ絵本屋は、お店をやりながら絵本を外へ売りに行ったり、絵本を作ったり、読み聞かせのイベントをしたり活動を広げていたら仲間が加わり、絵本と音楽、絵本と食などのコラボへ広がっていった。イタリアでは絵本で日本食を紹介するイベントをするなど、日本語しかしゃべれなくても、絵本はボーダレスに世界をどんどん広げてくれる。また、絵本は子どものものという意識があるが大人も楽しめるものと実感しています。

 

―絵本はもともと好きでしたか?

 

いしいさん
…普通です。絵本を集めていたわけでもなく、場所ありきで絵本屋を始めた。先入観もなくポンっと出会い、絵本自体が持つ力、言葉が通じなくても、年齢も関係なく共通のものとして繋げてくれるのを楽しんでいます。

 

―人を繋げるという部分では芸術士の活動も共通する部分があるように
感じます。

 

三井さん
芸術士の活動は週に1回保育園・幼稚園に行って、子どもたちと一緒にいろんな遊びのお手伝いすることです。芸術士はサポートするだけで描き方は教えず、こうしなければならないも言わず、褒めておもしろがる。
何かを上手く描く必要はなくて、伸び伸びと子どもたちの個性を投影していきます。

ある子どもが黒い海を書いたら、海の色は青だと先生が注意をした。海は子どもが創造する色で描いていいので芸術士と先生が話し合いをし、黒い海を受け入れて一緒におもしろがってあげる、そんな活動をしています。


―子どもたちが小さいときに絵本に触れる大切さで考えていることはありますか?

 

いしいさん
「大切だ」というより「楽しいよ」という提案をしていきたい。子どものときに限定して、触れることの大切さを伝えるより、どのタイミングで
絵本に出会ってもいい。絵本づくりのワークショップでも、大人も子どもも交じりながら、みんなで楽しむことができる。こんなところでも絵本と出会えるというのを作っていきたい。去年は絵本の読み聞かせでサマソニに出させていただいた。 

 

―アーキペラゴでも大人に目を向けた取り組みをされていますが、大切にされていることはなんですか?

 

三井さん
幼児教育を学んで幼稚園に来る若い先生は「〇〇せねばならない」に捕らわれた方がわりといる。これはしてはいけないというところから物事を
考えるため、芸術士が提案したことに子どもたちがはしゃぎ、歓声をあげたら先生が笛を吹いて子どもたちに気をつけをさせたことがある。
その気持ちもわからなくはないが、そういう先生たちにも芸術活動という遊びを通じて、心のゆとりや楽しさ、おもしろがる気持ちを一緒に作っていけるようにしたい。子どもたちは本当に素直で楽しんでくれる、先生も一緒になって楽しむと自分の中の子どもの部分が楽しんでいるのがわかると思います。


■Talk Session3では 沖縄で特色ある取り組みをされているルーブル子ども園園長 大城葉月先生と取材を通してルーブル子ども園のファンになったライター 山本梓さんが育てる人の環境づくりについて語りました。

 

―育てる側の人に対して環境づくりで大事にしていることは何ですか?

 

葉月先生
コミュニケーションだけではなく、ダイアログも大切にしています。
ダイアログは対話。先生たちと対等な対話をする。
自分から言ったことも、先生から投げかけられたこともみんなで考え、
違う考え方の人に対してどうするかも考えます。

 

山本さん
ルーブル子ども園は園長の下に職員がいるという構図ではなく、対話を
重視したフラットな関係が築かれているんですよね。常に良くなるような
アクションをみんなで考え、すぐに実践できる環境。         

 

―職員と園長が語り合えない職場はどうすればよいでしょうか。

 

葉月先生
私は先生との対話の時間を作ってもらうようにしており、直接対話できないときは管理職の先生が橋渡しをしてくれる。またモバイルツールを使って園長の思いを伝え、良い関係を維持しています。

 

―ルーブル子ども園は立場に枠組みがないように感じます。

 

山本さん
先生たちの自発的な「やっていこう」という気持ちやチームワークを葉月先生は意識されていると思います。

 

葉月先生
私たちの園では、音楽が好きな先生はどんどん音楽をやれる環境がある。各先生に生きがいや、やりたいことなどいろんな声を聞いて実現できる
ようにする。それが園長の仕事だと思っています。


―子どもたちだけでなく、先生自身の個性を伸ばすことにも力を入れて
いる印象です。

 

葉月先生
保育士だから子どものことは何でもできるだろうではなく、個性を生かして認めていくことが、園長として大事にしていることです。私にも弱みがあり強みがある。それが私を私にしていることを認める。
互いに尊重し、生まれてきただけで素晴らしいということを常に先生たちにも伝えています。

 

山本さん
園長が弱みを出すことで、みんながサポートできる体制になっていますよね。だから、ほかの先生たちも何でも言いやすい雰囲気になる。

 

―弱さを出すのは信頼感がないと難しいですよね。

 

葉月先生
私の弱みを先生たちが強みにしてくれ、助けられているという実感がある。保護者と話しをするときは、「私を園長にしてください」と伝える。私は園長だから園長になったのではなく、保護者のおかげで園長として
育ててもらっているから。

 

―いい循環ができていると驚いています。

 

葉月先生
来年の4月に「のびしろ子ども園」という新しい園ができます。
働きたい人のできることよりもしたいことを見て採用するなど、子ども
だけでなく、周りの大人もみんなが成長できる場所にしたいです。

 

 

■セッション2/3を終えて

子どもの頃は好きなことに没頭する力を持っていたのに、大人になるに
つれてその力が弱まったように感じる人も多いのではないでしょうか。
人生100年時代と言われているなかで、子どもの頃のようにワクワクできるものを持っていることは豊かな人生を過ごす上でとても重要になります。絵本は子どものものなど、物事を決めつけてしまうと可能性が広がらないので、まずは先入観をなくすことも大きな一歩かもしれません。

子どもに対してもやはり「育てるもの」という先入観が強くあるように思います。葉月先生の「私は園長先生にしてもらっている」という捉え方を知り、お互いを尊重し合うのは大人同士の関係だけでなく、子どもと大人の関係においても大切にしなければならいと感じました。「子どもが私をお母さんにしてくれている。」という心持ちに変えてみると、お互いに育み合うような良い変化が生まれる予感がします。

 

Vol.3へつづく。

 

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持って旅に出よう”「福祉留学」をオンラインにて開催するなど活動は
多岐にわたる。

https://cococolor.jp/crf2020_1
https://cococolor.jp/crf2020_2

 

■トークゲストプロフィール

三井 文博(特定非営利活動法人アーキペラゴ 代表理事)

いしい あや(ニジノ絵本屋 代表)

大城 葉月(社会福祉法人 愛の園福祉会 ルーブル子ども園 園長/
のびしろ子ども園(2021年新設)園長)

 

■司会 / MC

三木 柚香(東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍/NPO法人Ubdobe ローカル事業部)

 

■モデレーター

山本 梓(編集者/ライター)

取材・文: 小川百合
Reporting and Statement: yuriogawa

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