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19 Jan. 2021

オトコとオンナ、女と男。ドラァグから紐解く、ジェンダー観

河合はるか
プランナー
河合はるか

年末年始、紅白歌合戦では、氷川きよしさんは白の衣装から、赤の衣装、そして金色へ。

紅組と白組という2つに分けるジェンダー観を気持ち良いくらい、吹き飛ばしてくれた。

今回は、ジェンダーについて『ドラァグ』を基に紐解いていきたい。

 

日本におけるドラァグカルチャー

あなたは『ドラァグキング』という存在をご存知だろうか?

 

ドラァグクイーンと言えば、大きくカールするまつ毛。ぽてっとした真っ赤な唇。鮮明かつ繊細なメイクが頭に浮かぶ。

以前cococolorでは、ドラァグクイーンとのサングリアづくりをレポートしている。

『旅に出られない今だからこそ、おうちでディープな異文化体験を』

 

ちなみに、ドラァグというのはドレスを『DRAG(引きずり)』ながら踊る女性というのが由来だ。

日本でも、老若男女・セクシュアリティなんでもありの MIXバー「Campy!bar」が渋谷パルコでオープン。

ヨシダナギさんの写真展「DRAG QUEEN- No Light, No Queen-」も昨年、各地方を巡回するなど、LGBTQコンテンツという枠を超えてカルチャーとしてドラァグは、浸透し始めている。

ところが、ドラァグキングは、まだまだ浸透していない。日本では、まだ馴染みのない言葉だ。

 

私がドラァグキングという言葉を知ったのは、

牧村朝子さんの『男装メイクで、和製ドラァグキングになった一日』という記事だった。

 

求められる「らしさ」との葛藤

牧村さんの記事の冒頭、『男になりたいわけじゃない。女をやめたいわけでもない。』という言葉に、とても共感した。

なぜなら筆者自身、どちらかといえば髪の毛が短かったり、パンツスタイルのほうが自分らしいと感じており、幼いころから、いわゆるボーイッシュ。や、オトコオンナ。と言われてきたから。

 

だが、それ自体に、特に悪い気はしなかったのは、『男になりたいわけでもないし、女をやめたいわけでもなかった。』からだと、記事を読んで気づくことができた。

 

そして、固定概念的な「女性」を自分自身で表現することは望んでいない。と感じると同時に、ジェンダーによって求められる「らしさ」に、疑問を抱えるようになった。

 

ドラァグキングとは

早速、ドラァグキング達を探すネットサーフィンの旅に出ると、

海外のドラァグキング達の勇ましさや、たくましさに圧倒させられた。

海外で活動するドラァグキングのlandon cider氏  Instagram

 

海外で活動するドラァグキングのANDRO GIN氏  Instagram

 

landon cider氏も、ANDRO GIN氏も煉獄さんばりの濃ゆい眉毛に、角ばった骨格でゴツゴツとした男性の特徴を表現している。シリアスに、時にコミカルに。男性性を表現している。

しかし、探せど探せど、日本でのドラァグキングは、牧村さん以外探し出すことはできなかった。

まだ、私は行きついていないだけかもしれない。キングたちを探す旅を続けることにする。

 

ここで、ドラァグたちの性自認について触れておくと、

クイーンの中には、プライベートの生活では「男性」として生活している人も多い。

そう。ドラァグクイーン=女装ではない。「彼ら」は、普段から女性になりたいのではない。

より美しく、より可憐に。女性への「リスペクト」を体現し、その時は「彼女」として女性の権利や主張を一押ししてくれる。

そして、中には、性自認が女性のドラァグクイーンも存在する。

 

ドラァグキングも、同様だ。

男性らしさの象徴ともされたヒゲや、スコッチをオンザロックで飲む。という性特有のアイデンティティを表現する。

故に、ドラァグクイーンは女性「性」を、ドラァグキングは男性「性」を表現したパーフォーマーであると私は解釈する。

 

お互いの性をドラァグの表現を通じて捉えることで、

自身の振る舞いの中にある、性にとらわれた表現に気づくことができるかもしれない。ドラァグたちを見て感じた。

 

 

ジェンダーロールについて考えるきっかけの多かった2020年

スーパーでポテトサラダを購入しようとした子連れ女性に、「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と声をかけた男性がいた。

料理をするのは、女性の仕事。という社会的な女性としての性の役割に対して、多くの国民が考えるきっかけになった。

 

女性の主人公が、ムダ毛のせいで「女なのに毛も処理してないのか!」と好きな異性に嫌われるというようなYouTubeおける、コンプレックス広告も話題となった。

コンプレックス広告を深いに思う女性は多く、脱毛もダイエットも男性のためにじゃない。自分のために。という女性たちの強い思いが署名では寄せられた。

 

社会的な性の役割への呪縛によって生まれるコミュニケーションの行き違い。

これらは、ジェンダーロールの固定観念から、思いこんでしまっているのではないだろうか。

 

もちろん人間だから、時々、お互いが持っている固定概念を誇張してしまっていることはあるだろう。

「女って感情的。」とか「男って本当にバカ。」というように論理的な女性だっているし、感情的な男性だっている。

自分で、俺たちはバカなんだぜ!というのは気持ちいいが、他人にお前たちってバカだよねって言われるのは誰だって嫌だ。

 

だからこそ、互いの性に向き合おう。

性別は2つだけじゃない。

 

ドラァグ文化に触れることで『ジェンダーロールの固定概念』に向き合い、様々な性へのリスペクトを表現していこう!

 

 

 

 

取材・文: 河合はるか
Reporting and Statement: haruka

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