健康食品などの安全性情報を伝える「食品ハザードピクト」、無償提供します。
- アートディレクター/UDプランナー
- 植田憲二
電通ダイバーシティ・ラボ「見やすさプロジェクト」では国立健康・栄養研究所と共同で「食品ハザードピクト」を開発しました。多様な消費者に「食品の安全性情報を円滑に伝える」という目的で、ユニバーサルデザインの見地からデザインしています。健康にかかわる重要な情報に対してピクトグラムの目印をつけることで、今まで情報に気を止めず健康被害にあったという人を一人でもなくしたいという思いです。
「食品ハザードピクト」は広く一般に普及するように無償提供されています。ピクトデータは記事末にダウンロードURLを記載していますが、開発の背景や使用に関する説明をご一読いただけると嬉しいです。
栄養、健康に関する専門家や健康食品メーカーの皆さまにも
近年、サプリメントや栄養補助食品といったいわゆる健康食品は生活の中でよく見かけるようになりました。ただ健康食品の原材料や成分によって中には体調に異変がでてしまう人もいますので、使用にあたっては事前の情報確認が重要です。商品メリットの情報と比べると、注意の呼びかけとなる[摂取上の注意]等に関しては記載できるスペースが小さく見過ごされがちです。また詳細を丁寧に伝えているサイトでも情報量の見やすさの問題もあって、注意すべきポイントをすぐに見つけることは簡単ではありません。
■医療関係者や栄養、健康に関する専門家の皆さまには「ピクトの表示」で消費者に重要な安全情報が認知されやすいよう、ひと工夫していただきたいのです。
■健康食品メーカーの皆さまにも自社サイトでの商品説明をする場合などに、このピクトを利用して消費者に必要な情報が見つけやすいようにしていただきたいのです。
また最近は食品のパッケージに「食物アレルギーピクト」を表示して、アレルギーのある方により安心していただける商品も増えてきております。同じように「安全性情報」はとても重要ですので、ピクトを併用して見つけやすい注意喚起をお願いいたします。
7つの安全性情報に対応したデザインになっています
ユニバーサルデザインとしての制作プロセス
高齢者や視力の弱い方などできるだけ多様な人にとって見やすさを考えてデザインしました。まず開発段階で中立的な消費者団体や一般のボランティアのみなさんと意見交換会を行いました。消費者側の意見をデザインに取り入れるということ、これは人間中心設計のアプローチでUDにとって大切なプロセスです。
色彩については内閣府が取り決めた防災情報の警戒レベルのカラーも参考に、注意喚起の重要度に合わせて、紫・赤・橙色の配色にしました。またカラーUDを考慮して若干彩度も調整しています。
大きさに関してはスマホなどの画面で表示された時の視認性を検証して、7ミリ角で使用できるように図形や線の太さなどにも配慮しています。
国立健康・栄養研究所の種村さんに開発構想を伺いました
みなさん、こんにちは。この「食品ハザードピクト」の開発構想から制作コンセプト、そしてその有用性の検証を担当しました国立健康・栄養研究所の種村菜奈枝です。
近年、ハザードコミュニケーション推進の一助として、単に文字情報だけではなく、ピクトグラムといった絵文字を活用した科学コミュニケーションが着目されています。食品安全分野においては、ピクトグラムの開発やその検証は、食品アレルギー表示での検討例はありますが、その他については、日本ではまだ数少ないといった現状です。そこで、サプリメントやいわゆる健康食品を含めた食品の安全性情報が、“一番読んで欲しい方に必要な情報が届くように”、という思いで、食品ハザードピクトを開発しました。
我々の検討では、このピクトグラムは情報を見つけやすく、また注意事項の3種類のピクトグラムでは、文字入りを使用することで、利用可能性があることが分かっています。活用例は、サイト下でご紹介したページで公開しています。ぜひ使ってみてください。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
種村 菜奈枝
ピクトグラムのデータについて
「食品ハザードピクト」は健康情報発信者が消費者に食品の安全情報を円滑に伝えることを目的として作られたピクトです。使用要綱を確認の上、自由にお使いください。
次のサイトよりデザインデータと使用要綱が無料ダウンロードできます。
■ 食品を対象とした効果的なリスクコミュニケーション推進のための補助ツール
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 種村菜奈枝(リンクに飛びます)
●「食品ハザードピクト」使用に関する要綱
●「利用ガイドライン」
●「食品ハザードピクト」(JPG)
●「食品ハザードピクト」(PNG)
■ 関連リンク
厚生労働省ホームページ
食品の安全確保推進研究事業(厚生労働科学研究)(リンクに飛びます)
制作・文:植田憲二、田代浩史(電通ダイバーシティ・ラボ 「見やすさプロジェクト」)
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