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Nov.

2024

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2 Aug. 2022

コンテンツに見られる、ジェンダーの描き方

在原遥子
プロデューサー
在原遥子

cococolorでは 、電通と「こどもりびんぐ」が共同発表した、子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」意識調査に伴い、「子どもにまつわるジェンダーバイアス」をさまざまな視点で紐解くリレーコラムをお届けしています。今回は、子どもたちが日常的に目にするコンテンツに見られるジェンダーの描き方について、考えたいと思います。コンテンツといっても映画・ドラマ・アニメ・ゲーム・音楽など幅広いですが、特に子どもたちが集中して触れる機会が多い映画・アニメについて、ジェンダー観に影響を与える要素をピックアップしてみました。

 

①キャラクターの衣装の色

ジェンダー観のなかでよく語られることとして、例えば子どもたちが「女の子の洋服はピンク、男の子はブルー」「女の子のランドセルは赤、男の子は黒」といった既成概念をいつから持つようになってしまうか、というテーマがあります。初歩的な部分ではありますが、映画・アニメにおける書くキャラクターの衣装の色はまさに、ジェンダーのイメージ醸成に大きな役割を果たしていそうです。 ヒーローものに出てくる女性戦士はピンクの衣装を着ているのが定番でしたが、近年ではダイバーシティの観点もあってか、女性戦士の割合も上がりつつ、黄色や水色、白など衣装色のバリエーションも増えています。  

 

②登場人物の男女比

上記①でも言及していますが、登場人物の男女比も大きな要素です。なぜなら、例えば男性は5人、女性は1人しか出てこない作品の場合、各キャラの描き方の多様性に必ず違いが生まれます。男性については、5通りの描き方(勉強が好き、勉強が嫌い、優しい性格、力に自信があるタイプ…など)ができるのに対して、1人の女性キャラクターの特徴はどうしても「女性」のジェンダーイメージに結び付きやすくなるものです。

 

③キャラクターの家族・家庭の様子

続いて、キャラクターの家族構成についても、ジェンダーロールがどう描かれているかに直結してきます。特に日本の子ども向けアニメでは、子どもたちの世界で起こることがストーリーの中心だからなのか、両親がいる家庭で下記のような描かれ方が多いように感じます。

     お父さん=会社員、夜の帰りは遅い、土日はリビングで新聞を読んでいる

     お母さん=専業主婦、家事をすべてこなす、子どもがしでかすことを怒る

ひとり親の家庭や祖父母と暮らしている子どもなど、家族のカタチは様々なのに対し、主な視聴者である子どもたちは、映画・アニメのなかで見ている家庭像を「普通」と捉えてしまいがちですし、作品のなかの家庭と自分の環境・境遇を比べてしまうこともあるでしょう。コンテンツのなかで描かれる家族のカタチが子どもたちの印象に残り、結果として社会的な「父親・母親像」が出来上がっていると言っても過言ではありません。

 

④キャラクターの性格・役割

②の男女比の要素にも繋がりますが、男女それぞれのキャラクターがどんな性格か、物語のなかでどのような役割を果たしているかも、現状では傾向ができあがってしまっているように感じられます。例えば、 

    ・主人公は男性が多い

    ・女性は主人公の男性の恋の相手か、もしくはアシスタント的役割

    ・男性はイタズラが好き、もしくは正義感が強い

    ・女性は勉強ができる(優等生)

などが挙げられます。もちろん、主人公が女性で、かつ敵と戦うようなアクションアニメもありますし、これらの例から外れているものも存在はしますがそのような作品は比較的新しいですし、ある意味上記のような傾向は「定番」とされているのではないでしょうか。

 

⑤キャラクターの特技や夢

子どもたちのジェンダーバイアスのなかに、「得意なこと」や「将来の夢」も植え付けられていることがあります。「得意なこと」としては、 

    女性=料理・裁縫・歌/ダンス・子どものお世話・怪我/病気の看病 など

    男性=スポーツ・算数・探検・ロボット・コンピューター・乗り物の運転 など

が代表的な例かと思います。コンテンツのなかのキャラクターが持っている「将来の夢」についても、私たちの心のどこかで、「エンジニアになりたいなんて、女の子らしくないね」や「男の子なのに、お花屋さんになりたいなんて珍しいね」といった反応をしてしまうことはありませんか?体格・体力などの性差による「向き・不向き」はあったとしても、将来の夢に「男らしい」も「女らしい」もないはずですから、映画・アニメのなかでどんどんこの壁を壊す描写がされるようになることは、視聴者がバイアスに気付くきっかけも与えてくれる可能性があります。少し脱線しますが、伝統的に家庭内では料理は女性の仕事とされるのに、プロの料理人は男性が多いのも個人的には興味深いです。筆者の8歳の息子も、将来の夢は「動物の世話をする人」か「料理をする人」と話していて、実際に週に数回は夜ご飯を作ってくれたり、学童に持って行くお弁当を自分で作ったりしています。

 

ご自身が小さい頃によく見た作品内では、上記の要素それぞれがどのように描かれていたか…詳細は覚えてはいなくとも、大人になった私たちのジェンダー観にも少なからず影響をもたらしているかもしれません。しかし大量の海外コンテンツが配信サブスクリプションサービスで簡単に見られるようになったというメディア環境の変化もあり、お子様が触れるコンテンツを選ぶ際にもこのような要素がどんどん参考にされるようになっており、より多様性のあるコンテンツが需要の基準になっていく未来も近そうです。

日本のコンテンツは、どうしてもジェンダーの多様性が少ないのが現状ではありますが、視聴者側の意識が作り手・業界全体にも広がっていくことは期待できると思っています。みなさんも是非、そのコンテンツに「多様性があるかどうか」で、次に見る作品を探してみてはいかがでしょうか。

文・在原遥子

 

取材・文: 在原遥子
Reporting and Statement: yokoarihara

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