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Dec.

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2 Dec. 2022

【国際男性デー】「男性の生きづらさ」を考える

在原遥子
プロデューサー
在原遥子

11月19日は「国際男性デー」ということで昨年に引き続き、Lean In Tokyo主催の国際男性デー記念イベントを取材させていただきました。(昨年の記事はこちら。https://cococolor.jp/imd_leanintokyo_211206

今回のイベントのタイトルは「誰もがDE&I推進の主役になる時代へ!~男性の生きづらさとDE&I推進調査2022~」。ダイバーシティ&インクルージョンの議論のなかでは、「マジョリティ」とされがちな男性が感じている生きづらさとは、どんなものなのでしょうか。

 

Lean In Tokyoが実施したDE&I推進調査2022では、男性が職場で感じる生きづらさとDE&I推進に関するアンケート435名分(日本国内で勤務する、性自認が男性の方対象)の回答を基にこんなことが明らかになりました。

 

◆「男だから」という固定概念により、64%の男性が「生きづらさを少しでも感じている」(2019年に比べマイナス14ポイント)。

◆『生きづらさ』を感じる具体的な場面としては、「昇進に対して野心的でなければならない」、「競争に勝たなければならない」、「長時間労働や休日出勤を許容できなければならない」を挙げた方が多い。

◆プレッシャーを感じる原因は「社会全体の風潮」がもっとも多く、次に「直属の上司」「同僚・知人・友人」が続く(同性である男性の上司・先輩から言われることが多い)。

 

 

◆半数以上が「DE&Iには男性への配慮がない」と感じている。

◆62%が「DE&Iに男性の多様性が尊重されることも含まれるなら、推進のモチベーションが上がる」と回答。

◆もしも職場で男性らしさが求められないとしたら、多くの男性が「私生活を重視した時間の使い方をする」「もっとやりたい仕事に挑戦する」と回答。

 

※調査結果の詳細はこちらからご覧いただけます。

https://leanintokyo.org/20221107-1/?fbclid=IwAR2HslvrqDFNLZj5qbzuJxJQaL2l9RdrtvLcYTxQCAPqXgK7m34loCxfVfI

 

イベントでは、デロイト トーマツグループ有限責任監査法人トーマツ パートナーの栗原健輔氏と、株式会社NTTドコモ総務人事部・育成担当課長の田中威津馬氏のお二人が登壇してのパネルディスカッションも行われました。

栗原さんと田中さんは共に、共働きで二人のお子様がいるという家庭環境。実は専業主婦世帯よりも共働き世帯が多い状況は、日本でも既に20年前から始まっているのに、男性の働き方・家庭進出はあまり進んでいないように見受けられます。栗原さんは「妻と家事育児を半々で分担し、平日も仕事終わりに子供のお迎えに行ったりご飯を作ったりしてみたら、こんなに大変なのかと驚いた」そうで、そこから働き方改革が全く進んでいないことに疑問を持ったと言います。田中さんは社員のキャリア開発などに携わるなかで、男女関係なく、働き方の多様性の尊重を目指しているそうです。特に田中さんの会社では、「全国転勤しないといけない」というプレッシャーも生きづらさに繋がっているというお話もありました。

 

お二人のディスカッションで興味深かったのは、調査のなかで出てきた「社会全体の風潮」の正体について。社会の風潮のせいにしているだけで、自らの価値観で自主規制しているのではないか?もしくは過去の日本や企業の成功体験が、「今までも十分機能してきたのだから」と無意識に縛っているのではないか?など様々な解釈が挙げられました。

 

また、女性活躍推進施策について「ただの女性優遇なのでは」とモヤモヤしている人に向けてのディスカッションも非常に実用的で役立つお話でした。「どちらかに肩入れすることは平等ではない=支援を偏らせないことが中立である」という考えを基にした「中立」の立場は、実は「中立」ではなく、マジョリティに与する行動となってしまうという見逃せない視点があります。それは、現状のマジョリティとマイノリティの比重が違うため、バランスを取るためには「中立」だと均衡が取れないからなのです。マジョリティ側がマイノリティ側に一歩踏み込むアクションを取ると初めて均衡をとることができ、そのためにもマジョリティである男性が、マジョリティである男性に呼びかけて変化を起こしていくことが重要であるということでした。

 

「女性活躍推進」の議論がされるとき、「どうしたら女性を支援できるか、働きやすいか」についてフォーカスされがちですが、「男性も従前のジェンダーロールに縛られて生きづらくなっていないか?」という視点を持つことは非常に重要です。なぜならダイバーシティの最終ゴールは、マイノリティである人々のみを救うことではなく、マジョリティとされる人々も含んだ誰もが生きやすい社会を実現することだからです。「我々の次の世代の男性に、このモヤモヤを残したくない」というお二人の強い思いが印象的でした。

取材・文: 在原遥子
Reporting and Statement: yokoarihara

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