cococolor cococolor

27

Apr.

2024

news
18 Mar. 2020

これからの食の選択肢として。食肉メーカーが提案する大豆ミートを試してみた

坂野広奈
プランナー
坂野広奈

東京オリンピックの開催年でもある2020年、様々な多様化に向けて日本の環境も大きく変化を迎える年となりそうです。

これまで食肉加工食品を製造してきた伊藤ハムでは、「食」の多様化に向け、植物性代替肉商品の販売を始めました。今年3月1日に発売した「まるでお肉!」シリーズは、大豆たん白を用いた加工商品です。揚げ物やハンバーグなど、食べ応えもしっかりあるこれらの商品は、知らなければ肉が使われていないとは思えません。

 

伊藤ハムの「まるでお肉!」は、肉を使わず大豆たん白を使った商品

 

ハムやソーセージなど食肉加工食品を中心に作り続けた伊藤ハムが、何故このタイミングで植物性代替肉商品開発に取り組んだのでしょうか。商品開発をご担当された弥冨さんによると、世界的な人口の増加が一つの要因であるとのことでした。

日本では少子高齢化が取りざたされておりますが、世界的には過去数十年で大きく人口が増加しました。人口が増えるということは、賄うべき食料の量も増えるということ。OECDによると、人口増加と比例するように、世界の食肉需要量も増え続けているといいます。(※1)

限られた地球の資源や土地でこれらの食料需要にこたえる為、世界ではこれまでの肉に代わる食品が模索されています。

2000年時点と比較、今年2020年にはおよそ1.5倍の食肉需要が見込まれています。

(OECD-FAO「Agricultural Outlook 2016-2025」より。単位は万トン)

 

既存の肉に代わる食品として、肉の細胞から生成する培養肉や、昆虫によるたんぱく質の摂取などと平行し、大きく注目を集めるのが大豆などの植物性たんぱく質から作られた代替肉です。

大豆たん白を用いた商品というと、日本人に馴染み深い豆腐のように、ヘルシーで淡泊な味を思い浮かべてしまいました。しかし、今回販売される商品のような「大豆たん白を使った代替肉」は、見た目も味もこれらのイメージを覆しています。

伊藤ハムの「まるでお肉!」は、メンチカツやからあげなど揚げ物をはじめとした満足感のあるメニューが目を引きます。実際に食べてみても、肉を使わず大豆たん白から作られているとは信じられないような食べ応えがある商品でした。このような、よりお肉に近いジューシーな味わいを作り出す為に、伊藤ハムではハムやソーセージ作りで培った技術を取り入れているということです。例えば、ハムカツでは一度ハムを完成させてから衣をつけて揚げる、肉のハムカツと同様の製造方法を実施しています。また、ハンバーグや肉だんごなどに用いるスパイスは食肉加工食品の製造で培った味付けを参考にしているそう。

 

大豆たん白による代替肉というと、ベジタリアンなどの食生活を実践している方や宗教上の理由で肉食ができない方向けの、特別な商品と感じていました。しかし、肉が使われていないことを忘れてしまう食べ応えや、肉製品同様の製造方法を鑑みると、より多くの人が食生活の選択肢の一つとして植物性代替肉を取り入れてもよいのではないでしょうか。

 

近年、「フレキシタリアン」と呼ばれる新しい食のスタイルをとる人が増えてきています。フレキシブルとベジタリアンの造語からなるフレキシタリアンは、週に一度や一日一食など、柔軟にベジタリアン・ヴィ―ガン食を取り入れる食生活のこと。これまでのヴィ―ガン・ベジタリアンのように動物性たん白を一切取らない厳格な食生活と比べて、フレキシタリアンは誰もが自分のペースで実践しやすくなっています。このようなフレキシタリアンの増加も相まって、アメリカでは大手ファーストフードチェーンを始めに、多くのレストランがベジタリアンメニューを取り入れ始めています。

 

人口の増加や、それに伴う地球環境の変化により、私達はこれまでの食生活を見直す必要があるかもしれません。大豆たん白による植物性代替肉を、食の選択肢の一つとして試すことから始めませんか。

 

※1:OECD-FAO「Agricultural Outlook 2016-2025」

http://www.fao.org/3/a-i5778e.pdf

 

取材・文: 坂野広奈
Reporting and Statement: hirona

関連ワード

関連記事

この人の記事