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18 Jul. 2019

はたらくって何だろう。 電通そらりの皆さんから学んだこと

高橋慶生
コピーライター
高橋慶生

 

6月6日、電通本社14階オープンラウンジで開催された「第4回こころのバリアフリーセミナー」。電通そらりの皆さんと一緒に「いい働き方」「仲間とのコミュニケーション」について考えました。

電通そらり 清水恒美社長

 

電通そらりは2013年、電通の特例子会社として設立されました。オフィスサービス業務を中心に、カフェや農園の運営にも取り組んでいます。

現在は約60人のサービススタッフ(サビスタ)が所属。14名のメンターが、知的障害や発達障害など、サビスタ一人ひとりの特性に合わせて、ていねいにコミュニケーションをとっています。

 

「ありがとう」は口に出そう

事前にセミナー参加者(電通社員)から募った質問で多かったのが「仕事でやりがいを感じることは?」という内容。

それに対して、電通そらり社員の多くが「電通社員に声をかけられること」と答えました。

廊下や会議室の清掃など、本社ビルで業務を行うサービススタッフの皆さん。「いつもありがとう」「おつかれさまです」そのひとことが1日で最も嬉しかった、と日報に書かれていることもあるそう。

「口に出して」あいさつをする、感謝を伝える。あたりまえのことではありますが、その大切さに改めて気づかされました。

電通そらり 会社紹介ムービーより

 

うれしいこと探し、してますか

清水社長から「3人とも緊張していますが、がんばって話してくれると思います」と紹介されて登壇したのは、サビスタの寺内さん、生沼さん、永沼さんです。

自己紹介とともに、会社の自慢、仕事のやりがい、自分が好きなものをプレゼンテーションします。

「先輩がやさしい」「仲がいい」といった会社のいいところ。そして仕事で嬉しかったこと、大変なこと。それぞれの言葉で、力強く話してくれました。

プレゼンテーションする生沼さん

 

「あなたの仕事のやりがいは?」「いちばん好きなものは何?」と自分が聞かれたら、何と答えるだろうか。彼らのようにまっすぐ話せるだろうか。そんなことを考えました。

自分はどんな時に、どんなことを、うれしいと感じるのか。ふだんから「うれしいこと探し」を少し意識するだけで、それを自分の言葉にすることで、働くことはもっと楽しくできるのかもしれません。

 

サービススタッフと参加者が歓談する時間も

 

知識よりも大切なもの

最後に清水社長から、「そらり流ココロの取説8ケ条」のお話です。

障害のある方に、伝えたいことが的確に伝わったことを「入った」と表現するそうです。この言い方だと「入る」かな、と思いをめぐらせ、一人ひとりと会話を重ねる。いまだに試行錯誤の日々だとおっしゃっていました。

以前は電通の営業として働いていた清水社長。コミュニケーションをとるという点では、営業時代も、電通そらりでも、本当に大切なことは一緒なのだと言います。

たとえば、「自分ばかり話さない」という姿勢。こちらが話しすぎないようにすることで、相手が自然と話したくなる空気をつくること。そんな、いい対話をするための具体的な視点を教えていただきました。

 

 

それは、みんなの自分ごと

電通そらりのことを知ってほしい。そしてサビスタと話すことで、何か感じるものがあれば嬉しい。という清水社長の声から始まったセミナーは、終始あたたかい空気につつまれていました。解散した後も、会場にはどこか、その余韻が漂っていたように思います。

3人のサービススタッフが自己紹介のプレゼンテーションをする場面では、ひとりずつ「ありがとうございました」と話し終えるたび、会場からは大きな拍手が。きっとそれは、3人の伝えたい気持ちが、まっすぐ私たちに届いたからです。

障害のある、ないという視点ではなく。私たち一人ひとりが、「はたらくってなんだろう?」「 いいチームって?」「いいコミュニケーションって? 」と考えるきっかけをもらった90分でした。

本当に大切なことは、実はそんなに複雑じゃない。そう考えることから、人と人はもっと分かり合えるのだと思います。

取材・文: 高橋慶生
Reporting and Statement: yoshiotakahashi

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