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Nov.

2024

interview
13 Jul. 2019

女子サッカー界の『メンズ』って?

河合はるか
プランナー
河合はるか

女子サッカー界におけるmen’s とは。

 

年明けの1/11。

その頃にドイツでサッカー選手として活動していた

下山田選手に私は出会った。

≪写真右が下山田選手:ドイツにてサッカーをプレーしていた頃≫

 

下山田選手(以下、愛称を込めて「しも」)はとても気さくに、

「今」の自分の状況を語ってくれた。

 

■女子サッカー選手であること。

■ドイツという異国でサッカーをプレーしていること。

■自分自身が「メンズ」であること。

 

女子サッカー界の暗黙の了解?「メンズ」とは

女子サッカー界では、『メンズなんだ。』と言えば、

『ああ!そうなんだ~』で、あるコトが相手に伝わる。とのことだが…

 

河合:しもさん。早速ですが、『メンズ』ってなんですか?

 

しも:自分でもハッキリとは、言い合せないけれど、

  『女性が好き』とか、『ショートカットで男性らしい』ということが

  一発で伝えられる、

  女子サッカー界ならではのセクシュアリティを表す言葉

  だと思っています。

 

河合:『メンズなんだよね。』って初めて聞いた時は、

   「何それ?!コミュニティ内の造語!?」と思っていたのですが、

   今では、フレキシブルなカミングアウトワード

   だと感じています。

   でも考えれば考えるほど、複雑ですよね…。

 

≪7時間の時差を越え、「メンズ」について何度か討論しました。≫

※本当に2人で2か月程、『メンズ』ってなんだろうと議論したのですが、1つの概念に収まらない。

 それが『メンズ』の良いところでは?と話はまとまりました。

 いや、まとまってないゾ。誰か教えてください。

 

LGBTはセクシュアリティ』『メンズは、まだ1つの言葉』

しも:(上文に続き)

   すごく複雑だと思います。『メンズ』=○○っていう概念が、

   女子サッカー界でも、共有認識ではないので。

  『メンズ』は、自分の要素を細かく伝えるというよりは、まず

  「女の子が好き!」ということを伝える言葉なのかもしれないです。

 

   だから、『メンズ』ってセクシュアリティの1つなの?

   と聞かれた時は、

   セクシュアリティではなく、セクシュアリティを表す言葉の1つ

   だとお話ししています。

 

河合:うっ…混乱してきました(笑)

   メンズはセクシュアリティではなく、自分を伝える1つの言葉

   ということですか?

 

しも:あくまで女子サッカー界の言葉なので、

   社会的に『メンズなんだ!』と言っても伝わらない。

   だから、現時点では、セクシュアリティではないと思っています。

 

   あくまで『女性が好き』『男性のような格好良さ』が

   暗黙の了解の大きな要素で、そこから引き算したり足し算したり、

   「メンズ」は、「自分」を知ってもらうための

   “入り口”のような感覚ですね。

 

河合:なるほど!

   そうすると、足し算や引き算をしていく上で、

   メンズの中に髪が長い人がいることも、

   女性らしい格好のメンズもいても良いような気がしてきました…!

 

しも:自分もそう思います。

   ですが、メンズ文化が根強過ぎるが故に…

   「メンズ」に関する性表現へのステレオタイプは強いかも。

   女子サッカー界では、昔から『メンズ』文化があるため、

   性自認や性的指向には、寛容なんですけどね。

 

河合:今では、多様性=ダイバーシティの考え方においても、

   身体の性や、心の性、表現の性というように、

   性のグラデーションが重要視されてきていますよね。

   そんな中で、メンズは今…

     

   ≪性のグラデーションのイメージ:筆者の考える性のイメージ≫

 

しも:社会的には

   多様性の波に取り残されているのかもしれないです(笑)

 

河合:「FTMだから男らしくしろよ~!」というような、

    界隈内での縦の差別というか…

   『みんなありのまま。』で良いと思います。

 

しも:「そんなのメンズじゃない!」という人もいるかもしれないけど、

    人それぞれの魅力があっていいし、

   「メンズだからって髪が短くないといけない!」

    という、ステレオタイプは息苦しいよなと感じています。

 

河合:『メンズ』もグラデーションしていくといいですね!

   『メンズ』について是非、今度、女子サッカー界関係者で

   討論しましょう!

 

しも:それは楽しそう!でも、どんどん文字では表現しにくい

   深い話になってしまいそうですね。笑 

 

河合:本当ですよ!!!

 

 

ドイツから5月に帰国。日本のなでしこリーグでプレー中

≪日本に帰国後すぐに、プライドハウスが行う講演会にスピーカーとして参加≫

 

河合:そういえば、しもは、5月から日本に帰国したと思いますが、

   このタイミングの帰国には何か理由があったのですか?

 

しも:あります。オリンピックを前に、日本で多様性を取り上げる

   動きが盛り上がっているのをドイツで感じ、

  「ああ、この波が、ただの波で終わっていくのはもったいない」と

   思ったからです。

 

   アスリートだから。

   そして

   LGBT当事者であることをカミングアウトした自分だからこそ。

 

   『スポーツ×多様性』を背景に発信できることがあるのでは?

   と思ったのが最大の理由ですね。

 

 

最後に、熱い思いを語ってくれた、下山田選手。

 「LGBTアスリートとして、自分らしくプレーするために。

 LGBTアスリートが、自分らしくプレーできるために。」と。

「みんな違うから、それでいいんだよ。」

サッカーに限らず、スポーツをしているチーム・指導者へと伝えていく。

 

≪下山田選手プロフィール≫
女子サッカー選手。慶應義塾大学卒業後、ドイツに渡りブンデスリーガ2部のSVMeppenで2シーズンプレー。2019年5月に帰国し、現在は、なでしこリーグ2部/スフィーダ世田谷所属している。また、今年春に女性のパートナーがいることを世間的にオープンにした。

取材・文: 河合はるか
Reporting and Statement: haruka

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