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9 Aug. 2019

五感で話す社会実験?!~子ども向けワークショップ~

半澤絵里奈
編集長 / プロデューサー
半澤絵里奈

2017年の超福祉展に訪れたことをきっかけに、手話や点字の存在を知り「暗号のようで面白い」と今もその興味が続いている娘。小学生になり教室の中に手話が話せる友達を見つけて帰って来た日の興奮は特にすごかった。その子とは、お互いに<しゅわとも>と呼び合って手話で話すそうで、なにやらたのしそうだ。



夏休みにコドモチョウナイカイ事務局が未来言語チームを講師に招き「デザインであそぶサマーキャンプ『五感で楽しむテーマパークをつくろう!』」を実施すると聞いて、娘がこのイベントに参加してきた。これは、子供たちのピュアな感性で、インクルーシブな遊びを生み出せないか?という問いを確かめてみることを目的として、コドモチョウナイカイ(※)と未来言語(※)が開発した新しいワークショップで、まだ実験的な取り組みだという。

 

「みえない」「きこえない」「しゃべれない」をやってみよう
午前中は、「みえない」「きこえない」「しゃべれない」を体験。

 

「しゃべれない」すきな食べ物を絵で描いて、伝えよう。こうやって食べるよ。

「みえない」目を閉じて触ったあの手は、誰の手だったんだろう?!

「きこえない」身振り手振りで伝言ゲーム。なんのどうぶつでしょう!

「ごちゃまぜ」みんなでいろいろな役割に分かれていろいろな伝え方に挑戦

点字クイズ。みんな1番に答えたい!真剣な表情で点字表を見つめる


たくさん動いて、各所から上がる「おなかすいたー!」という声。ランチは、未来言語のなかで異文化を専門とする永野さんからタコスの作り方を教えてもらい、それぞれが思い思いに作って味わった。トルティーヤはトウモロコシ製と小麦粉製の2種類。その硬さや色、香りの違いを確かめながらみんなパクパク。

 

五感で楽しむテーマパークをつくって、あそぶ
午後は、3チームに分かれて制作タイムと、みんなであそぶタイム。

しゃべれないチームは、9文字の暗号を探しパソコンのパスワードを解いていくかいとうキッドからの謎解きを開発。謎解きは二段階になっていて、ヒントはそれぞれパソコンから動画で伝えられる。一つ目のヒントをもとに建物中を走り回って9つの文字を探して行くが、見つかった文字の紙の裏に次なるヒントが隠されている。

みえないチームは、大きな段ボール紙や家具を使って目隠しして挑戦する迷路づくり。行き止まりやトンネルに加えて、白杖代わりのダンボール杖も制作。他のチームに体験してもらうときはアイマスクをつけて白杖を持ってもらい、危ない箇所で声をかけてあげた。みえないと広く感じる。でも、迷路だったら迷ったほうがたのしいよね!という声も。

きこえないチームは、手話を使った数種類の動画を見て探しものをし、それらが揃うと宝箱が開くゲームづくり。色と手話、部屋のなかに何げなく置かれた小物類に隠された数字を探し宝箱を開けていく。最後、宝箱から登場したのは山盛りのお菓子!

最後に、感想を五感新聞としてまとめてワークショップは終了。

 

伝える楽しさ、伝わる喜び。

会話が成立したとわかったときのわくわく感は、聞こえないことや見えないことをぽーんと超えていく。この人にはどうやったら伝わるだろう?と、その人のことを知ろうとし、伝え方を試し、選んでいく。うまくいかないこともあるから、また挑戦する。

「みえない」「きこえない」「しゃべれない」という当事者の状態を経験してから、五感で遊ぶテーマパークを作り上げた子どもたちは大興奮。みんなでいろいろ考えて手作りしたからこそ、他のチームに体験してもらうときにヒントを出したり、横でじっと見守る子どもたちの姿が印象的だった。20人超の子どもたちはみんな初めましてだったのにも関わらず、アクティビティを通じて加速度的に仲良くなり、制作の時間はチームワークも生まれていた。子どもたちの純度や馴染んでいく力に大人たちが感服した時間だった。

 

—- ※ —-

コドモチョウナイカイ
https://www.facebook.com/kodomochounaikai/
こどもたちが「コドモチョウナイカイ」と称するデザインチームを組んで、デザインの課題を通して、共に遊び、学びあいながら、まちやまちの人たちを元気にする「おまつり」をつくりあげるワークショッププログラム。

未来言語
http://100banch.com/projects/miraigengo
100BANCHに入居する「障がい」をテーマにする4つのプロジェクトの代表が手を組んだ組織体。日本語が理解できない「言語難民」に対し教育を提供する『NIHONGO』の永野将司、知的障がいのあるアーティストの作品をモノ・コト・バショに浸透させる『MUKU』の松田崇弥、点字と墨字という異なった世界をつなげるデザインを行う『Braille Neue』の高橋鴻介、手話をコミュニケーションツールとしたゲームを提供する『異言語Lab.』の菊永ふみの4名が、各自の専門領域を繋げることで、それぞれのコミュニティの垣根を超えて新しい伝達方法を創造していく。

取材・文: 半澤絵里奈
Reporting and Statement: elinahanzawa

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