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12

Aug.

2020

event
23 Apr. 2020

がん×コロナを考える CancerXオンラインセミナーレポート

高田愛
ソリューションプランナー/産業カウンセラー
高田愛

はじめに
私がこのセミナーに参加したのは、知り合いのがんサバイバーやその周囲の家族の人たちの生活に思いを馳せることがあるからだ。
私自身は、12年前に耳下腺がんになり、耳下腺と右顔面神経を切除した。今も、目が完全に閉じずドライアイでずっと涙が出ているし、右口角が上がらず正面から笑顔になれない障害が残っている。現在は、二児の母となり、会社のなかでは通常業務に加えて、社内のがんサバイバーが語りあえる場作りもしている。

この記事では、私の視点から印象に残ったり、学びのあったものについて紹介しようと思う。
コロナ在宅が始まって2か月。最近は公園にさえ出かけず、ベランダで日光浴するような日々。買い物時にタッチパネルに触れたり、レシートやお釣りをもらうのも躊躇するくらい神経質に過ごしている。そんな気持ちの中、ハイリスクが想定される友人たちは、どんな気持ちで過ごしているのだろう。


このセミナーは、CancerXによって「~新型コロナ肺炎禍の今、私達が考えておきたいこと~」と題し、4月21日(火)19時~21時にオンライン上で実施された。目的は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、不安を感じているであろうがん患者さん・ご家族向けのものとなっている。申込み者は580名(参加者504名)と、関心の高さが伺える。登壇者は、医療従事者をはじめとした7名の方々(以下、ご参照)。

登壇者:
大曲貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター センター長)
勝俣範之氏(日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科 教授)
秋山正子氏(認定NPO法人マギーズ東京 センター長)
佐々木治一郎氏(北里大学病院 集学的がん診療センター センター長)
大須賀覚氏(アラバマ大学バーミンハム校 脳神経外科 助教授)
天野慎介氏(一般社団法人 全国がん患者連合会 理事長)
上野直人氏(CancerX/米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター 乳腺腫瘍内科 教授)
鈴木美穂氏(CancerX/認定NPO法人マギーズ東京 共同代表)

がん患者全員のリスクが高いわけではない


大須賀先生が口火を切り「がん患者は、治療等の影響で免疫細胞の数が低くなることがあり感染症を防ぐ力が弱まることがある。気を付けなければいけないことは間違いない。けれど、がん患者すべてが危ないわけではない。ハイリスクなのは高齢者、肺がん、化学療法などで免疫が低下している人など」と伝えた。続いて、佐々木先生は自身の勤務する病院では「リスクが高くても、がん患者は健康な人より気を付けているため、インフルの罹患率は低い」。勝俣先生から「アメリカのデータによると、(コロナ禍における現時点での)がん患者致死率は、7.6%。一般的には、2~4%。そのうち、21.9%が高齢者。そうみると、がん患者が特別高いわけではないが、重症化する可能性は高くなる」とのこと。特別高くはないが、きちんと気を付けることが大切ということ。

 

では、どう気を付ければ良いのか

アメリカで勤務医をしながら、がんサバイバーでもある上野先生は、自身を高リスクだと自認し、防御策を講じている。「とにかく、手も洗うし、外出時の服は全部洗濯し、シャワーを浴びる。散歩後の犬や宅配物も拭くという。しかし、科学的見地では、ウイルスが何時間残るかわかっていても、それが原因で感染したというのは実証されていない。ただ、自分のできることをやっている」とのこと。続いて天野さんが「結局、自分で守れることはやる。それでも限界はある。守り切れない人がいるということをすべての人に自覚してもらいたい」と。気を付けていても、感染し重症化してしまう人たちを守るために、自覚ある行動をしなくてはいけないと心に刻んだ。

 

治療か、不要不急の外出を控えるか

治療中に発熱などがあるとコロナか副作用なのかという判断が難しい。また、医療資源の関係に加え、リスクを加味して、手術や治療が一時中止の場合もあると、佐々木先生は言う。上野先生は「何の根拠によって判断がなされているのかは主治医と対話した方がいいと思う」とのこと。私も主治医との付き合いが長いので、メモを書いて行ったり、話し方を工夫したりしている。がん治療は、症状や状態によって選択肢が多様である上、患者としては選択の連続でもある。その選択に万全を尽くしたか?ということが、自分の中で大切になってくるのだと感じている。

自身のストレスを感じることからはじめよう

この感染症が完全になくなることはないかもしれない。そんな中で、Stay Homeのストレスを誰もが感じているはず。そのことに無自覚でいることこそ不健康だと、マギーズ東京の秋山さんは言う。気を付けるあまり、水分補給や、睡眠が減っている人も多く存在すると指摘する。マギーズ東京では、対面型の相談から、電話やメールを用いたカウンセリング体制に移行をしていっているとのこと。不安は自分の中にため込まず、吐き出すことが大切。

罹患した時を想定しコミュニケーションしておく
冒頭の話に戻るが、やはり参加者の中にも家族としての向き合いについて心配されている声が聞かれた。「家族にハイリスクのがんサバイバーがいる場合、自分が感染源とならないようにどうしたらいいのか」という質問が出た。上野先生からは、相手に「私が、もしもかかったらどう思う?」と聞いてみるのもいいかもしれないというアイデア。事前に、家庭内で感染者が発生したらどうするかを話し合っておくことが大切だと。これを受けて、他の参加者から、「自分はホテルに14日間陰性反応が出るまで隔離すると決めている」という発言も。また、隔離の方法について、自宅でできるだけ隔離することが基本ではあるものの、ハイリスクの患者がいる場合は、通院する病院や各自治体の指定機関に相談してみたほうがいいというアドバイスもあった。

半径数メートル内の人に声をかけ、つながろう
一方、このようなオンラインイベントに参加できない場合も多い。Zoomの使い方がわからず、参加を諦めた人も多いようだ。私自身、Wi-Fi環境や、機器の都合で使えなかったことがある。オンラインでサポートできない人に対して、どのようにつながりを生み、支え合っていくのかも重要な課題だ。電話を使う他、地域の民生委員や一人一人が声がけをしていくこともひとつだ。本セミナーをきっかけに、がんサバイバー同士はもちろん、その周囲の人たちとの対話の必要性を強く感じ、次のアクションへ向かういい機会となった。コロナと長い付き合いになりそうな今、多様な環境に置かれている人たちをどう巻き込むのかということは考えていかないといけない。

取材・文: 高田愛
Reporting and Statement: aitakata

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