2020年に向けて「対話」と身近に向き合う新しいプロジェクトが始動。 – 体験編 –
- プランナー
- 吉澤彩香
2020年に向けて「対話」と身近に向き合う新しいプロジェクトが始動。 – インタビュー編 – はコチラから。
見ることを諦めた体験
浅草橋のダイバーシティラボにて、実際にDID体験に参加させていただきました。年齢も性別も雰囲気もバラバラな大人8名で構成されグループを、一人の視覚障害者のジュンさんが先導してくださいました。扉を開けると、そこは真っ暗闇の部屋。事前に渡された1本の白杖(視覚障害者のかたが使う杖)のみを手に取り(もちろん、携帯電話、時計などはNGです)、聞こえてくる声や音と、少しの気配を頼りに、自分の目が開いているかどうかもわからない暗闇の中を進んでいきました。そこで繰り広げられるプログラムは初めての体験。グループ全員がソワソワしているのを感じました。全くの初対面同士が、戸惑いを隠せないという同じ状況にいることで、自然と助け合えたり、声を掛け合ったりできるのは不思議に思いました。普段の日本では他人と目を合わせることも少ないのに、目が合わせられないことで、不安を感じ、自然と声を発するという天邪鬼な現象です!また、目が見えないことで、他の五感が敏感になっていることを感じましたが、アテンドのかたは、まるで見えているかのように行動していることは、本当に驚きです。3時間くらいの暗闇体験から元の世界に戻り、初めてメンバーの顔と名前が一致すると、自然とみんなで笑い合いました。わたしのグループは、たったの3時間一緒に過ごしただけで、オフ会をするほどの仲となりましたが、毎日顔を合わせる同じ会社の人とのコミュニケーションとの違いは、暗闇の中で“対話”をしたということだけなのに、これほど短時間で人と人との距離を縮めることができるという、DIDの凄さについて、体験をもって感じることが出来ました。
呼吸や心拍音が聞こえる
続いて、新宿LUMINE 0にて、DISを体験させていただきました。DID同様に何も携帯しない状態(携帯電話は電源をオフにして所持可)で、聴覚障害のカリンさんがアテンドしてくださり、音の無いお部屋へ案内されました。特別なヘッドホンをつけ、おしゃべりも一切無しの、無音な空間です。アテンドのカリンさんは、とても表現力が豊かです。言葉を発しなくても気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取るために真剣に見入る姿をみて、自分も見よう見まねで、表現力の低さにもどかしくなりながらも、表現することにどんどん力がはいっていました。プログラムを通して、グループのみんなも少しずつ表現力が豊かになっているのも感じ、最後には、アイコンタクトで、みんなで“対話”していることに気づきました。
最後は、声で“対話”する部屋にて、グループのみんなで体験についてなど自由に話し合います。もちろん、アテンドのかたは、聴覚障害があるので、筆談やボディーランゲージで話しますが、手話のエキスパートのかたも協力してくださり、感じたことや疑問に思ったことをアテンドのカリンさんも一緒に対話することができます。
対話が終わると、たくさんの本が並んだ部屋に通されます。
真っ白な一冊の本に、自分が体験を通して感じたことを、カバーの色と、表紙のタイトルで表現し、本を棚に戻します。今後、DISの体験者の本がこの棚に陳列し、様々な色の本が並んでいくということです。自分の本は、後日自宅に郵送され、日常でも思い思いに真っ白な本を埋めていくことができるのです。
当たり前に“見えること”や“聞こえること”で、いかに普段のコミュニケーションが粗雑になっていたかを痛感しました。五感を研ぎ澄ませて“対話”することで、相手への表現も、相手の話を聞く体制も変わり、まずは自分が変わることで、世の中も少しずつ変わっていくと感じたとても貴重な体験でした。
DISはLUMINE 0 NEWoMan新宿5階にて8月26日まで期間限定で体験ができます。
文章では伝えきれない新しいコミュニケーションの感覚を、是非、この夏体験してみてください!
※詳細はこちらから
ダイアログ・イン・サイエンス オフィシャルWEBサイト
https://www.dialogue-in-silence.jp/
ダイアログ・イン・ザ・ダーク オフィシャルWEBサイト
http://www.dialoginthedark.com/
Facebookページ
https://www.facebook.com/DIDJAPAN/
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