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Nov.

2022

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24 Nov. 2022

Femlink Lab.が目指す「ブームで終わらせない女性の健康への関心と理解」

半澤絵里奈
cococolor編集長 / プロデューサー
半澤絵里奈

女性を意味する「Female」と技術を意味する「Technology」をかけあわせた造語である「フェムテック」という言葉を聞くようになって久しい。働き方やパートナーとの関係性を含むライフスタイルの多様化に伴い、女性の健康への向き合い方は当事者である女性だけでなく社会全体で変化を迎えている。

メディアで話題になるだけではなく、2020年頃からテーマとして取り上げるカンファレンスや展示会が増え、プロダクトを扱うメーカーや店舗も徐々に拡大しつつある。

このような機運が高まる中、2022年5月10日に女性特有の健康課題からフェムケア(※1)について考えていく啓発プラットフォーム『Femlink Lab.(フェムリンクラボ)』が始動した。

Femlink Lab.を運営する株式会社明治 マーケティング本部の正野崎泰二さん、吉田菜々絵さんに立ち上げの背景やそのねらいについて伺った。
※1 フェムケア…「女性(Female)」+「ケア(Care)」を意味する造語

 

なぜ、今、明治が女性の健康課題に取り組むのか

明治が健康問題に取り組むきっかけは世の中の潮流としてフェムテックが取り上げられるよりも前のこと、明治で勤務する女性たちのリアルな声にあった。社内の女性同士でおしゃべりしているときに月経のつらさについて語った一人に対して、多くの人が共感を示し、世代をまたいで共通の健康問題となっていることがわかり、少しでもこの問題を解決できれば自社内に留まらず、多くの女性の豊かな暮らしにつながるのでは?と考えた。

そして、自社の強みである食とコミュニケーションを通して届けられるものは何かという問いを起点に、数年をかけて「研究・調査分析」「啓発活動」「食品開発」の3軸の準備を進めたという。研究や食品開発については、粉ミルクを扱うメーカーとして長い年月をかけて進めてきた母乳研究も含め、自社が築いてきた資産が礎になっている。

この企画開始から発表まで実に5年以上をかけているが、それはけして平坦な道のりではなかったそうだ。女性にとっての特有な健康課題を女性のみではなく、多くの人に理解してもらうための社内理解に時間をかけて推進しつつ、発表してブームで終わらない世の中のタイミングを図っていたという。

 

写真左から吉田菜々絵さん、正野崎泰二さん

 

確たる情報の編集と地道なアプローチによって、ブームでは終わらせない

吉田さん、正野崎さんが、明治として大切にしていることを教えてくれた。それは、女性の健康課題について、わかった感じやブームで終わらせないためにとても重要なポイントだった。まずは、商品よりも前に正しい理解、深い理解、そしてその拡がり(啓発活動)を優先すること。加えて、健康課題を抱える当事者だけではなく、性別を問わない多くの人々とも一緒に理解度を上げていくこと。

明治では上記のために大きく2つの具体的なアクションが行っている。

一つは、まずは明治の社内から啓発活動を行うこと。

この度の一連の発表に際して、自社の役員を含む多くの管理職を巻き込み、トップから社内へのメッセージを発信する他に、女性の健康課題は社内にも存在することを知り共に考えてもらうため、講師として吉田さんが全社員に対して研修を行っている。

もう一つは、確たる情報を持続的に世の中に届けること。

『Femlink Lab.(フェムリンクラボ)』を見ると、そこには膨大なコンテンツが準備されており、読む人の立場やニーズによって何を読むとよいのかガイドされている。


女性当事者、フェムテック起業家、医療者など多面的な視点を取り入れた記事がある他に、ウェブサイトの構成やデザインにも読み手への配慮があり、誰がどのようなシチュエーションで読んでも読みやすい、恥ずかしくないものを目指したという。取材時、取材チームの男性からも、このようなデザインと内容であればパートナーや自分の子どものために読みたい、読みやすいと感じるという声が上がった。

 

取材を終えて

『Femlink Lab.(フェムリンクラボ)』発表後、折に触れて吉田さんには社内外の女性からも感謝や応援の声が届くという。

女性自身が「自分の健康をマネジメントしやすい時代」というのは、医療に加えて複数の選択肢と理解ある環境の両方が揃わないと訪れない。その点ではまだまだ道半ばともいえる。

今後も多くの企業が、自社の強みや資産を生かした社会価値の高い研究開発・生産・販売にチャレンジしていくと予想するが、吉田さんたちのように当事者意識が高い状態で問いを生み、まずは社内の活動から開始し、その試行錯誤を経て世の中にもよいものをシェアしていこうというプロセスは多くの企業にとっても、またフェムテックに関わるスタートアップやアクティビストにとっても非常に参考になると感じた。


吉田さん、正野崎さん、取材にご協力をいただき、ありがとうございました。

取材・文: 半澤絵里奈
Reporting and Statement: elinahanzawa

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