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Dec.

2024

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8 Nov. 2020

テクノロジーでつながり、アップデートし続ける東京の暮らし

半澤絵里奈
編集長 / プロデューサー
半澤絵里奈

2020年11月7日、8日に渡って西新宿で行われた『あたらしい生活様式なるほど博』(主催:東京都)。新型コロナ感染症によってこれまでとは生活様式がすっかり変わり、人々はみな生活シーン毎に不安や不便を抱えて暮らしている。本イベントでは、それらの不安や不便を解決してくれるテクノロジーを紹介すると聞き、ダイバーシティ&インクルージョンの視点から取材を行った。

東京都副知事 宮坂氏(11月7日に行われた記者発表会にて)


東京都は多様な個性を持つ最大級の都市

東京は世界のなかで最も広い都市のひとつ。高層ビルが立ち並ぶエリアから、住宅地、自然豊かな景勝地エリア、島しょ部まで幅広い顔を持つ。地理的な多様性に加え、そこに居る人々の目的も「住む」「働く」「学ぶ」「遊ぶ」「旅する」など多岐に渡る。

東京都は行政として、東京のより良い暮らし実現のため「スマートシティ化」を掲げると共に、大手IT企業の会長を務めていた宮坂学氏を副知事に迎え、都庁内にもスマートシティ化に向けた専門部署を設ける他、西新宿エリアに関しては周辺企業と一緒にエリア課題の把握と解決に向けたプロジェクトチーム『西新宿スマートシティ協議会』を立ち上げるなど、入念な準備と実施を繰り返してきた。

 

テクノロジーで解決したい都市の課題

新型コロナ感染症の拡大によって、東京の人々にも予想より早く訪れた新しい暮らし方。本イベントでは東京に暮らす人々の課題が4つのゾーンに分けられ、それぞれに対応するテクノロジーとして20社以上の企業が出展し、それぞれ閲覧・体験することができた。

 

1)移動や買い物に関する不安や不便

移動の自由はぐんと広がり、買い物はオンライン化・無人化も進んでいる。パーソナルモビリティも含め近距離移動の手段が増え、密の状況が分かるようになれば、都心移動中の密の緩和につながる。店舗の非対面化、非接触化は感染の可能性を下げ、拡大を防ぐために不可欠な対策となる。

 

2)仕事と学習に関する不安や不便

仕事や学習についてもリアルで行ってきたことをオンラインに置き換えるに留まらず、大容量・多接続・低遅延を実現する5Gを活用してできることも増えていく。不便を解決するだけではなく、離れているけどむしろこちらのほうが精度の高い情報共有や議論ができるということもある。

 

3)体調管理に関する不安や不便

体調管理は今後よりきめ細やかに、医療者はもちろん個人ができることも増えていく。あたらしい技術によって、常に体のデータを取得できるようになり、病気の予防や予測まで行うことができるようになると期待されている。感染予防のための衛生環境の整備やオンライン診療技術はすでに実用化が進んでいる。


4)余暇に関する不安や不便

テクノロジーの進化によって遊びの次元もまた変わっていく。映像を用いたコンテンツはこれまでに比べ格段に情報量が増大し、特にゲームは全世界を巻き込み熱狂させる一大エンターテインメントへと進化。家庭内でも子どもやシニアをはじめ多くの人々がロボットと家族のように触れ合うのも当たり前の風景になる可能性がある。

 

「つながる」は、限られた人々の課題からみんなの課題になった

5GやICT技術で「つながる」ことで広がる可能性についてはこれまでも多く語られてきた。しかし、私たち人類は新型コロナ感染症でこれまで以上に、切実に、「つながる」ことの重要性を感じたのではないだろうか。
ゆえに、テクノロジー好きの人に限らず、行政が民間企業や市民を巻き込んでスマートシティ化を推進することに共感が高まっているのではないかと感じる。いや、むしろ、「もっと早く進めてほしい」という要望さえ最近は耳にするようになってきている。

一方で、長くダイバーシティ課題にかかわる立場から見れば、これまで一部の限られた人々の課題とされてきた様々なことがコロナ禍で一般化したという印象も強い。
例えば、子育てや肢体障害、高齢、疾患などを理由とする移動課題を解決するために開発されている複数のパーソナルモビリティがあるが、そのような課題がなくとも短距離での移動がパーソナルに(非対面・非接触で密を避け)、かつシェアサービスで手軽に解決できるようになってきている。
また、仕事や学習についても、この数か月間のテレワーク人口増加に伴い、この領域の進化に関わる人も企業も爆発的に増えた。そのことで、身体への負荷や時間管理がネックとなって働くこと・学ぶことを諦めていた人たちも多くの選択肢を得られたのではないだろうか。特にテレワークによってオンライン会議が一般化したことは、離れて働く人たちの関係を<オフィスにいる人>と<いない人>ではなく、個人が誰とでも等しい距離感でつながっていく世界観に変えた。

感染症の拡大が収束した後もこれらの変化が続いていくことで、誰にとってもつながりやすく暮らしやすい東京というものが更新されていくのだろうと感じる。

 

すべてが「テクノロジーで解決できる」とは思っていない

7日朝に行われた記者発表会で宮坂副知事は、選択肢の多様化も重要なポイント、新しいこと・ものへの違和感や苦手意識がある人もいるだろうし、対面でのやり取りのほうがよい相談ごとなどアナログでの対応も必要とされていると述べた。
本イベントが体験型展示を中心にリアル会場で行われたことも、重要度の高いアナログ対応のひとつだったのかもしれない。

スマートシティ化といっても、単純にテクノロジーの運用を進めるだけではない。行政だからこそできる、行政だからこそ求められるダイバーシティ&インクルージョンを目撃した2日間だった。

2日間のイベントで子どもたちに大人気だったペット型ロボット。人肌の温度のロボットを抱き上げ穏やかな表情になるのは子どもに限らず大人も同じ。ロボットと一緒に暮らす違和感のない時代がもう訪れている。


『あたらしい生活様式なるほど博』公式ウェブサイト
(本イベントの出展企業の情報や動画を見ることができます)
https://www.life-naruhodo.metro.tokyo.lg.jp/

東京都戦略政策情報推進本部 公式twitterアカウント
https://twitter.com/tocho_senryaku

取材・文: 半澤絵里奈
Reporting and Statement: elinahanzawa

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