丸井グループがめざす「すべての人がしあわせを感じられる社会」とは?
- ビジネスプロデューサー
- 秋田ゆかり
2016年から東京レインボープライド(TRP)に協賛を行っている丸井グループ。
今年も「すべての人がしあわせを感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創る」というミッションのもと、さまざまな新しい取り組みを行っています。
丸井グループが大切にするダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進に向けた企業精神とはどのようなものなのでしょうか?
また、その企業精神のもと、どのようなアクションを起こしているのでしょうか?
その秘密を探るべく、丸井グループの村上さん・小泉さん・諏訪さんにお話を伺いました。
(上段右が諏訪さん、下段左から村上さん・小泉さん)
プライドハウス東京エポスカードに込めた想い
2019年9月、丸井グループはプライドハウス東京エポスカードを発行しました。
TRP2021のオンラインブースでは、このプライドハウス東京エポスカードを紹介し、多くの問い合わせを受けたそうです。
LGBTQ+を中心とした情報発信やコミュニティづくりを目指すプライドハウス東京と提携したカードになっており、デザインカード発行料に加え、たまったポイントを1ポイント1円に換算してプライドハウス東京に寄付することもできます。
この「プライドハウス東京エポスカード」は、プライドハウス東京の趣旨に賛同・共感されるお客様に向けて発行するクレジットカードになっており、このカードをお持ちいただくことで、実際に声に出さなくともアライであること、アライコミュニティに所属していることが表現しやすくなっています。
カードの企画に際して、当事者の方に事前ヒアリングを行ったところ、あるコンビニエンスストアで働いているトランスジェンダーの方からは、「自分がトランスジェンダーかどうかは相手に分からないけれども、プライドハウス東京エポスカードを使っているお客様にお会いした際には、自分を理解してくれる人がいることが分かり、1日嬉しい気持ちになると思う」とのコメントをいただいたそうです。
まさに、プライドハウス東京エポスカードが当事者やアライをつなぐことができる役割をもっていることが分かります。
プライドハウス東京エポスカードの入会者もプライドウィーク期間中は前年比約2倍とかなり伸長したようです。
また、好評を博した理由に丸井グループが大切にするD&I推進への秘訣がありました。
諏訪さんはその秘訣をこう打ち明けます。
「1つの企業が取り組めることは、どうしても限られてしまいます。だからこそ、企業や団体同士が積極的にコミュニケーションを取り、強みを持ち寄って取り組みを進めることで、より広がりを持ったアクションを起こすことができると思います。」
D&Iを推進するための好循環
また、取材を行う中で、もう1つ丸井グループがD&I推進を行う際に大切にしていることが見えてきました。
それが社内のワーキングインクルージョンと、お客様のD&Iを循環させていくことです。
お客様のD&Iを推進するにあたり、丸井グループが多様性を持っていることが大切だと考え、社外への取り組みと社内理解を相互に高め広げあいながら、ミッションである「すべての人がしあわせを感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現」につなげていきたいという想いがあります。
その循環の根幹となる、丸井グループの多様性を達成するために、自ら手を挙げて自主的に活動する「手挙げの文化」が根付いており、社員一人ひとりの自主性を促すことで自律的な組織をめざしているようです。
自律的な組織を基盤として事業を行うことで、イノベーションを創出できる企業になる、という目的が「手挙げの文化」にはありました。
LGBTQ+についても、丸井グループ社員がテナント向けに研修を実施し、知見を蓄えているからこそ、TRP実施時期には「ENJOY DIVERCITY!」のもと、マルイ・モディ各店でレインボーの店内演出を行ったり、プライドハウス東京エポスカードのような新たな取り組みを実施したりと、お客様やテナントを巻き込んだアクションの実現ができているようです。
丸井グループの考えるD&Iとは?
その他にも、性別・年代・身体的特徴に関係なく自分らしいファッションを選ぶことができるジェンダーフリーファッションのイベント展開や、ユニバーサルデザインの製品が体験できる「ミライロハウスTOKYO」のオープン、パラスポーツの協賛などを行っている丸井グループ。
丸井グループは今後どのようなD&Iをめざしていくのでしょうか?
(研修施設内に国内初のブラインドサッカー専用コートを建設)
諏訪さんはこう語ります。
「丸井グループのD&Iは、女性や障がい者、LGBTQ+など特定の方々を対象とするのではなく、一人ひとりの個性・多様性を受け入れ、お互いを尊重し、すべての人がしあわせを感じられる社会を実現したいと考えています。これからも、一人ひとりが自分らしく生きられる毎日を実現する選択肢の提供をしていきたいと思います。」
また、このミッションの達成には、何よりもお客様の協力が必要だと力強いメッセージもいただきました。
まさしくD&I推進は企業だけでは成し遂げられないものだからです。
丸井グループの強みは私たち生活者との接点や、流通業界ならではの視点を用いたさまざまな取り組みであることを今回の取材を通じて改めて感じました。
2021年のTRPのテーマにもある「声をあげる。世界を変える。Our Voices, Our Rights.」のように、生活者が声を挙げていくことで、丸井グループのような生活者とも接点があり、かつD&I推進を行っている企業がその声を基に、多種多様なアクションを実施してくれるだろうと確信した取材となりました。
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