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Jan.

2021

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7 Jan. 2021

多様なコミュニティとつながるには?―「DIVERSITY & INCLUSION 100人カイギ」―

八木まどか
メディアプランナー
八木まどか

コミュニケーションの方法が大きく変わろうとしている今、多様な人と出会い、話す機会をどのように広げていけばいいのでしょうか?

 

また、オンラインコミュニケーションが進む以前より、会社など同じコミュニティにいても全く話したことがない人がいるなど、「気が付いたら、話す人が固定化している」ということに、心当たりがある人も多いかもしれません。

 

そんな課題を解決するために生まれたプロジェクトが「100人カイギ」。100人カイギ founder / 見届け人の高嶋大介氏が立ち上げました。2016年1月に東京都港区で始まり、その後日本各地に広まって2020年には53の地域にて開催されました。それぞれの地域で働くゲストの話を起点に、ジャンルを超えて人と人とのつながりを生むためのイベントを開催しています。

 

過去に開催された100人カイギの様子

 

興味深いのは、100人カイギを開催するときのルールのひとつ「ゲストが100名に達したら解散する」というもの。つまり、終わりを決めることを重視しているのです。一度つながったコミュニティさえ、固定ではなく自由な、「ゆるいつながり」を作るコミュニティ活動を目指しています。

 

今回は、この100人カイギのフォーマットのもと「ダイバーシティ&インクルージョン」をテーマにしオンライン上で開催された様子をレポートします。

 

立場やジャンルを超えてチャレンジする5人

この日の5人のゲストは、ダイバーシティ&インクルージョンの価値観を持ちながら、それぞれ全く異なるジャンルで活動していました。また、それぞれ1つの専門分野だけでなく、様々なコミュニティと様々な取り組みをしていることがわかりました。

5人のお話をレポートしていきます。

「DIVERSITY & INCLUSION 100人カイギ」の様子

 

半澤絵里奈さん~がんと言われても動揺しない社会へ~

1人目の登壇者は、cococolor編集長であり、一般社団法人CancerX共同代表理事を務める半澤絵里奈さん。CancerXの活動は以前よりcococolorでも紹介していたように「がんと言われても動揺しない社会」を目指し、医・産・官・学・民など幅広い分野の人を巻き込んで活動しています。

「がん患者だけでなく、患者の家族や友人、職場の同僚も様々な課題を抱えていて、立場は違えども当事者と言えること」「医療的な課題だけでなく、がんと言われてショックを受けて職場をやめてしまうといった心理的・社会的な課題へのソリューションを発信していること」といったお話がありました。

 

都築則彦さん~夢は分断を超える~

2人目は、ボランティア研究を専門とする都築則彦さん。「ボランティア」を軸にしつつも、その活動分野は非常に多岐にわたり、全国学生ボランティアフォーラム代表、若者がオリンピックに関わるための「学生団体おりがみ」の代表、炎を成層圏に打ち上げ、炎越しの地球を撮影する「Earth Light Project」の代表など、様々なコミュニティでリーダーシップを取っています。現在の若者の多くに「夢」が不足しているのではないかと危惧しつつ、自身の経験から「社会の分断は、他者と夢を共有し、仲間となることで越えて行ける。」とメッセージを送りました。

 

安藤良一さん~人間の身体の可能性を広げる~

3人目はAXEREAL株式会社の代表である安藤良一さん。人間の身体を世界に最適化させる媒体の研究開発をしています。障害者が健常者の動きに合わせるために義足や車いすを利用するといった考えではなく、すべての人の身体的な動きや機能を、テクノロジーによって拡張することでフラットにし、また、その目的で開発した乗り物など使い、新たなスタイルのスポーツイベントを開いたりしています。

しかし、安藤さんのお話を聞いていると「自分の移動をもっと楽にするには?」「自分の足がもしも車輪になったら?」といった自分起点の自由な発想があることが印象的でした。

 

加藤健人さん~一人ひとりできることが違うからこそ面白い~

4人目はブラインドサッカー選手の加藤健人さん。2007年から現在まで日本代表として、世界選手権など様々な国際試合に出場した経験を持ちます。ご自身は高校3年の頃に病気で視覚に障害を持ち、両親のすすめでブラインドサッカーを始めたそうです。

加藤さんは、障害があると何もできないと思われがちだけれど、それは、障害ある・なしに関係なく、相手をよく知らなくて思い込んでいるだけではないかと話しました。その中で、ジェスチャーを交えて、全盲、光覚弁、手動弁、弱視の違いを紹介したり、白杖やブラインドサッカーのボールを見せて説明したりしてくださいました。

また、印象的だったのは、もともと小学生からサッカーに取り組んでいた加藤さんが、頭の中でサッカーコートの空間をイメージしながらプレーしているといった、加藤さんならではの感覚のお話です。このように、障害の種類や特徴、先天性・後天性かによって、得意なことなどが大きく異なることをわかりやすく伝えてくださいました。

 

鈴木順さん~誰もが、誰かを応援する存在になれる~

5人目はスポーツ関連の活動に取り組む鈴木順さん。cococolorでも紹介した、川崎フロンターレのセンサリールームのプロジェクトに関わっており、そのことを中心に話してくださいました。発達障害という、外部から認知しづらい障害に対しても、一歩踏み出すきっかけになるプロジェクトを目指したと言います。そして、実際にやってみて印象に残ったのは、発達障害のある子どもを持つ母親の笑顔だったそうです。川崎フロンターレの取り組みのような、企業、スポーツ団体、自治体を巻き込み、それを継続するには資金も必要で決して簡単ではないものの、応援する側、応援される側両方の課題を自分事化していくことの重要性を語りました。

 

なかなか出会えない人にも、ざっくばらんに聞ける!

5人の話を聞いた後、1人のゲストを選んで、個別に話を聞く時間も設けられました。筆者は、加藤健人さんと交流しました。視覚障害のある方とオンラインで話す機会は初めてで緊張しましたが、「自分は大人になってから視覚に障害をもつことになったので、音を頼りにボールをコントロールすることになかなか慣れませんでした。逆に、幼い頃から視覚に障害のあるチームメイトは、音を察知する能力に長けているので、チーム内でお互いの能力を補い合っています」と聞かせてくれました。

このような、プレーヤーのリアルな話をざっくばらんに聞ける機会はなかなかなく、新鮮な発見がありました。

 

まず、自分の中に多様なコミュニティとのつながりを

5人5通りの興味深い話があり、あっという間に100人カイギは終了しました。

印象的だったのは、どの登壇者も好奇心が旺盛で、その好奇心をエネルギーに変えて、特定の分野だけなく様々な活動をしているということ。つまり、「自分の中に多様な価値観を積極的に取り入れ、多様なコミュニティとつながっている」というのが5人の特徴でした。この点に関して、LGBT課題に取り組む東由紀さんも、cococolorのインタビュー記事において、このような「イントラパーソナル・ダイバーシティ(一人内多様性)」を持つ人材は、組織のダイバーシティ推進のパワーになる、と述べていました。

まず、自分の中の多様な価値観を認め、それをさらに広げること。一人ひとりのそうした心掛けが多様な他者と生きる社会につながると感じました。オンライン化が進み、コミュニケーションの方法・文化の変革は加速し、その結果、アクセスできる人や情報はさらに広がるでしょう。一方、「出会いたい」「聞きたい」「伝えたい」という気持ちが人にあるからこそ、歴史的にコミュニケーションのあり方が変わってきたと思います。

新しいコミュニケーションツールを味方につけつつ、結局は、自身の中にある、多様で流動的な価値観を育て、誰かに受け渡していくことこそ、ダイバーシティ&インクルージョンが実現される社会につながるのかもしれません。

 

次回の「DIVERSITY & INCLUSION 100人カイギ」は、2021年1月12日に開催。ゲストは高橋鴻介さん(発明家)、三代達也さん(車椅子トラベラー)、飯山智史さん(東京大学医学部健康総合科学科4年/EMPOWER Project 共同代表)、中山テルヒロさん(一般社団法人PLAYERS)、志藤大地さん(NPO法人LES WORLD/代表)。

詳細は、以下をぜひご覧ください。

 

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note:https://note.com/di100ninkaigi

 

 

取材・文: 八木まどか
Reporting and Statement: yagi

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