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7 Jan. 2019

女性がもっと輝く組織へ、nadesico a-projectの挑戦

半澤絵里奈
編集長 / プロデューサー
半澤絵里奈

2017年12月に新社屋をグランドオープンさせたエイベックス株式会社(以下、エイベックス)。開放的な社食や、コワーキングスペース、選抜された育成生がレッスンするスタジオやデジタル時代にマッチした映像スタジオ等、新たにエイベックスビル内に設えられ、チャレンジし続ける会社だ。
2018年の夏頃、社内メンバーの有志により女性活躍推進プロジェクトnadesico a-projectが立ち上がったと聞き、今回、プロジェクトについて取材をさせてもらった。

まず、エイベックスのなかでゼネラルマネージャー職を務め、アーティストのライヴ制作を牽引しながら、nadesico a-projectのプロジェクトリーダーを務める菊田洋子氏に話を聞いた。

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菊田洋子氏(右)

Q,プロジェクト発足の狙いを教えてください。
エイベックスは、全社で約1,500名を抱える総合エンタテインメント企業。全体の4割を女性が占めるだけではなく、自社の提供するコンテンツサービスの購入者やユーザーは女性も多いという特徴を持ちます。一方で、自社内に目を向けると、まだ役員に女性はいませんし、女性のマネージャー職が少ない環境です。そこで2年前、社内のメンバー達と議論を重ねて、本プロジェクトを立ち上げ、もっと女性が活躍する組織になることを目指そうとなりました。

Q.具体的にはどのような活動をされているのでしょうか。
まず、社内の女性を対象に悩みや課題に感じていることについてのアンケート調査やグループインタビューはを女性社員だけでなく、男性社員へも実施し、その結果について、プロジェクト内での分析、さらなるヒアリング等を丁寧に進めました。分析内容をもとに女性社員の体験談や考えをシェアしていく場として、育児をしながらマネージャーを務める女性の話を聞ける場や活躍するゼネラルマネージャーの女性と対話できる場を設けるなど小規模のイベントも何度か実施しました。

Q.プロジェクトを進めるなかで転換点はありましたか。
もともと本プロジェクトは、自らエイベックスをもっと魅力的な会社にしていきたいと思う社員が集まり、会社が抱える課題について調査・議論を行い、解決・改善に向けた様々な施策を考え、実行していく代表取締役会長CEOの松浦直下のプロジェクト「ジュニアボード」。のなかにありましたが、この組織の任期が1年単位であったことと、社内の声を聞くうちに「もっと継続的に、女性の働き方や活躍に焦点を当てていかなければ」という考えが強くなり、2018年4月より独立した組織として動くこととなりました。

Q.独立した組織として”nadesico a-project”となってからの活動は、いかがでしょうか。
独立してから、15名のメンバーで活動をしています。そして、プロジェクトの活動を大きく3つに絞って動くことにしました。3つとは、①キャリアプランの見える化②社員満足度の向上、③ヒットコンテンツの創出です。
組織に対して、女性の活躍を推進してほしいという思い自体にブレはありません。社内制度や研修などのインナー施策についても議論を重ねる一方で、エンタメ業界ですので、プロジェクトとしては女性目線でヒットコンテンツを開発していくというマーケティング視点での目標設定も大事にしたいと考えています。

男性、女性のマインドセットが異なる環境において、現実的には、時間に制約がある女性が多いのですが、今後は労働人口の課題もあります。男性だけじゃ経済を支えられない。女性がいても足りない。そこをもう一度、企業として柔軟性を持ちながら、まずは目の前の女性をインクルージョンしてモチベートしていきたいというのが私たちの強い想いです。

まずは、点でもいいからアクションを重ねて、つないでいき、社員のモードを良くして、会社が充実できる環境になっていったらいいなと思っています。

1年の殆どをアーティストのライヴ制作で全国を飛び回る生活の菊田さん。多忙な生活のなかで、一切の疲労感を見せず、エイベックスやそこで働く社員のモチベーションアップへの強い願いが溢れていました。ありがとうございました。

そして、10月末、nadesico a-projectは、社内の別組織が運営するトークセッションのコンテンツプロデュースを実施。社員にインスピレーションを与える機会として、80歳を超えて新米プログラマーとなったプログラマー若宮正子さん(83歳)のトークセッションを実施することにしたという。

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左から、若宮正子氏、中村寛子氏

本イベントは、「monthly session ‘Really!’」という、社員が「Really!」と思うような業界の第一人者をゲストに招くスペシャルトークセッション。毎回、多様なテーマが設定され、社内外の方が講師となって話を聞くことができるという。

若宮正子さんは、1935年東京生まれの83歳。高校卒業後、退職まで銀行に勤務し、定年を迎えるのを機にパソコンを始め、1999年にはシニアのためのネット老人クラブである『メロウ倶楽部』の創立に参画。オンライン学習でプログラミングも習得し、アプリをリリースするスーパークリエイター。若宮さんの聞き役としては、女性の生き方に注目し、誰もが強くしなやかに活躍できるような社会を目指す活動を進める㈱MASHの中村寛子さんをお呼びした。

トークセッションでは、若宮さんが人生の折々で新しくスタートしたチャレンジについてお話頂くも、若宮さんご自身は「挑戦なんて大それたものじゃない、やってみるだけ。別にできなくたっていいんだから」と気負わない身軽なスタイルが会場を沸かせた。

トークセッションを終えて、参加した社員の方に感想をお伺いした。

◆西本さん(管理職/男性40代)
「若宮さんには、アプリ開発で有名というだけでなく、非活動的になっていく年齢にもかかわらずより一層活躍しているのを知っていたので、どんな風に人生を楽しんでいるか興味があって参加しました。私の両親よりも上の世代の女性で、かつ今後は人生100年時代のなかで、私自身も走る時間がきっと長くなっていくので、先んじて聞いてみようという想いでした。実際に話を聞いてみて”好奇心”が原動力なのかなと感じ、老いるか否かというのは好奇心を持ち続けられるかどうかなのかとも思いました。好奇心を持ち続けるには、特殊な体験が必要なのではなくて、自分の身近にあることを素直にやってみることの重要性を感じました」

◆櫻井さん(一般職/女性/40代)
「メディアの記事等を通じて若宮さんのことは知っていました。80歳を過ぎてアプリを開発するなど精力的な活動を見てどんな方なのか知りたいという興味で参加しました。若宮さんからはエネルギッシュさだけでなく、彼女は若いときから身の回りのことにひとつひとつ疑問を持って向き合ってきたんだなと感じました。好奇心があっても自分で限界を決めてしまうことが多いのですが、今後はそのような限界を決めずに私も挑戦というか、色々やってみよう!と思うことができました」


社員にインスピレーションを与える機会を創出していきたいという、nadesico a-projectの狙いが伝わり、若宮さんへの質問が絶えないという大変印象的なトークセッションとなっていました。cococolor編集部では、今後のプロジェクトの動向にも注目していきたいと思います。

nadesico a-projectのみなさま、ありがとうございました。

取材・文: 半澤絵里奈
Reporting and Statement: elinahanzawa

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