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Dec.

2024

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18 Dec. 2015

みんスポ・ソーシャルドリンクスVol.9–スポーツの向こう側・スポーツの新しい兆し

ゲストスピーカーによる「おもしろそう」な実践事例ヒントに、ゆるく飲みながら、みんなのスポーツ(みんスポ)を広げるためのアイデアを語りあう「みんスポ・ソーシャルドリンクス」。第9回目は「スポーツの向こう側-スポーツの新しい兆し-」をテーマに、東京大学教授(イベント開催時慶応義塾大学教授)/超人スポーツ協会共同代表の稲見昌彦さん、一般社団法人RCF理事の岡本敬史さん、NPO法人グリーンズpeople事業部マネージャーの植原正太郎さんをゲストに開催されました。

<技術は身体性を超えて超人スポーツ>

最初のスピーカーは「超人スポーツ」という新ジャンルを提唱する稲見昌彦教授です。
DSC_8328s(稲見教授)

インタラクティブ技術、複合現実感、ロボット工学、リアルメディアを専門に活躍する稲見教授は、スポーツとテクノロジー、文化を融合することでいつでもどこでも誰でも楽しめる新領域のスポーツ「超人スポーツ」を広めるため、2015年6月に「超人スポーツ協会」を発足しました。メンバーはテクノロジーやメディアアートなど、多分野で活躍する面々。そのユニークな発想は、協会設立のアナウンス直後から国内外の多くのメディアの注目を集めました。
超人スポーツ1

超人スポーツ2

(超人スポーツのもたらす可能性)

「ホモサピエンス」とは、道具をつくることによって身体性を超えていったいきもののこと。眼鏡の発明が「弱視」という障害を超えることを可能にしたように、技術には身体的差異を平滑化する力がある。稲見さんは超人スポーツにそんな可能性を感じ、その推進にあたり3つの原則を掲げています。

それは「技術とともに進化し続けるスポーツであること」「すべての人が競技者として楽しめるスポーツであること」「すべての人が観戦者として楽しめるスポーツこと」。

健常者と障害者、プロとアマ、運営者とプレイヤーといった境界さえも取り払っていく。「あらゆるボーダーを超えていくこと」。超人スポーツには、そんな意味も込められているのかもしれません。
超人スポーツ3(超人スポーツの観点から、ブラインドサッカーもさらに進化できる)

未知への期待を大いに感じさせる超人スポーツの噂を聞きつけた人たちからは「是非仲間に入れて欲しい」という声も多く寄せられ、海外からも国際展開の要望があるとのこと。スポーツというジャンルを超え、人を支えるテクノロジーとしての多様な発展性にも益々期待が高まっています。

ほしい未来をつくるコミュニティが支える、新しいメディアのカタチ>

続いてのスピーカーは、NPO法人グリーンズpeople事業部マネージャーの植原正太郎さんです。グリーンズの運営するソーシャルウェブマガジン「greenz.jp」では、”ほしい未来は、つくろう”をコンセプトに、 社会課題をクリエイティブに楽しく解決する国内外の多くのプロジェクトやそれに取り組む人たちを「ソーシャルデザイン」というキーワードから発信しています。

greenz(greenz.jpの記事はソーシャルメディアを通じて多くの人たちに共有されている)greenzarticlegreenzarticle2 (国内外の多様なソーシャルデザインプロジェクトが紹介されている)

グリーンズの考えるソーシャルデザインとは「社会的な課題の解決と同時に、新たな価値を創出する画期的なしくみをつくること」。グリーンズは、そんなソーシャルデザインの生まれる人々のつながり・生態系をつくることをミッションに掲げています。
DSC_8299s_(植原さん)

ミッションの達成のため、メディアの運営の他、書籍の出版、green drinksと呼ばれるソーシャルドリンクの日本各地での展開、学びの場「グリーンズの学校」の開催など、多様なプロジェクトを手がけてきたグリーンズでは今、日本初の寄付型メディアづくりへの挑戦が行われています。キーとなるのは、グリーンズに濃く・深くつながる「greenz people」と呼ばれる人たちのコミュニティの育成です。読者から月額1,000円の寄付金を受け、その寄付によるメディア運営を目指しています。寄付会員にはグリーンズの活動のノウハウが詰まった特典本が届くほか、会員同士がつながることができるコミュニティに参加することができます。グリーンズと深くつながり、その事業を支える「greenz people」の輪が広がれば、読者コミュニティからの寄付でメディアを運営する「Community –Supported-Media」が実現され、独自財源でゆとりあるメディア運営が可能になる。メディアというアプローチによって、新しい社会の姿を描きだそうとするグリーンズの挑戦にもまた、ボーダーを超えた世界の広がりが感じさせられます。

communitysupportedmedia(“greenz people”によるメディア展開イメージ)

<復興から、2020年パラリンピックの可能性を読み解く>

3人目のゲストは、一般社団法人RCF理事の岡本敬史さんです。岡本さんはエンターテインメント企業、IT企業において経営企画に従事してきましたが、東日本大震災の後、一般社団法人RCFに参画し、復興支援事業に深く関与するようになりました。現在は文部科学省教育復興支援員、釜石地方創生アドバイザーという肩書きを持ちつつ、RCFでは新規事業開発やコミュニティ支援・人材支援など、さまざまなプロジェクトを統括しています。DSC_8316s_(岡本さん)

復興事業に携わる中、岡本さんが感じているのは、行政・企業・NGOといった異なる特性を持つ団体が、互いの持ち合いを活かしながら連携することの重要性です。例えば、民間セクターは一般的に前例のない取り組みに挑戦することを得意とすると言われる一方、行政は、一律のサービスを提供することに優れていると言われています。しかし、双方の間に共通理解に基づく関係性が生まれなければ、連携はうまくいきません。そこでRCFでは、異なる主体がそれぞれの持ち味を活かしつつ連携するための「コーディネーター」の役割を担っています。
rcfrole緊急支援から復旧期を経て、復興期へ。フェーズの変化と共に、地域にもともと存在してきた、少子高齢化、一次産業の衰退などという課題が顕在化し、「課題先進地」ともしても注目される東北の地。そこには、多くの連携や革新的な事業が生まれ、新たな可能性の芽が育っています。岡本さんは、こういった経験を踏まえ、東日本大震災の復興と、2020年のパラリンピックには共通点が見出せると語ります。それは、それぞれが国民的・世界的関心事でもあり、セクター間の連携を必要とする、多くの関係者の関わる事業であるということ。こういった共通点を踏まえ、東日本大震災からの復興から得た知見が、パラリンピックの成功にも活かせるのではないか。岡本さんは、そんな可能性を感じているのです。
RCF-1
RCF-2向こう側を切り開くヒントとは?>

ゲスト・トークの後は、日本ブラインドサッカー協会の松崎英吾さんのファシリテートによる全体セッションで、熱い意見が交わされました。
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“既存の捉え方を超えて、その”向こう側”に新たな可能性を見出すヒントとは何か?”

「行政や民間など、異なるセクターの間に存在する仕事の仕方・組織文化の違いに対して理解を示すこと。その上で、相手側の姿勢やモチベーションを推測し、違いを尊重すること」(RCF岡本さん)

「価値観が重なり、必然的に求めあう人たちが、集まり・つながりゆく場をつくっていくこと」(グリーンズ植原さん)

「(従来の”技術” ”スポーツ”という枠組みを超えた)斜め上の切り口を設定したことが、業界を超え、それまでスポーツという言葉に関心のなかった人さえもひきつけるマグネットのような力を持ったのかもしれない」(稲見教授)

最後に参加者からのコメントを紹介します。

「普段はアメリカで弁理士として働いていますが、冬季パラ競技・アイススレッジホッケーの女子をパラ正式種目にしたいと、アジア女子スレッジの山本恵理選手とThe WISH Projectを立ち上げ活動しています。この場ではたくさんの人と出会い、多くを学ぶきっかけを得ました」(The WISH Project共同設立者木村さん)「誰もがいつでもどこでもフットボールを楽しめる環境づくりを理念とした仕事に取り組んでいます。毎回みんスポに参加する度に、得た話を社内でも共有しています」(株式会社クリエイティブヘッズ山田さん)
DSC_8353sDSC_8347s

 

関連リンク

超人スポーツ協会

greenz.jp

RCF/Revalue as Coordinator for the Future!

 

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取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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