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Sep.

2021

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2 Jun. 2021

「誰にも似てない」大切さを伝えよう!~スープストックトーキョーの挑戦~

秋田ゆかり
メディアプランナー
秋田ゆかり

今年の東京レインボープライド(TRP)は昨年に引き続きオンライン開催となったものの、数多くの企業が協賛し、様々な発信や取り組みを実施しています。

2年連続でTRPに協賛した株式会社スープストックトーキョーは、オンラインブース出展だけでなく、TRPに合わせて店舗でも様々なアクションに取り組みました。

その想いを、取締役副社長の江澤さんと広報の平田さんに伺いました。

 

(株式会社スープストックトーキョー取締役副社長の江澤さん)

(株式会社スープストックトーキョー広報の平田さん)

 

創業当時から大切にしている“Soup for all!”という考え方

 

スープストックトーキョーは、いつでも、どこでも、誰にでも、おいしいスープをという想いの下、年齢や国籍、宗教、性的指向・性自認をも超え、おいしいスープによって一人ひとりに寄り添うことを目指しています。

それが“Soup for all!”という創業当時から大切にしている考え方です。

「たった一人」が大切で、「たった一人」ほど、見放せない。食の制約に限らず、生活の楽しみの中にある小さくて大きな“食”の壁をひとつずつとりのぞき、食事を楽しめる機会を増やしていきたいと考え、ベジタリアン・グルテンフリー・ハラールメニューなどを実現させてきました。

そんな食の多様性を推進していたスープストックトーキョーだからこそ、人の多様性についての関心の高さがTRP協賛へのきっかけだったと江澤さんはこう語ります。

「様々な方に食べてもらえる商品を提供しようと食の多様性を推進する中で、人の多様性についても社内の関心が高まっていました。食の多様性、ひいては人の多様性を推進することも、私たちがやるべきことなのではないかと問題提起が起こり、その一つの切り口として、企業としてもTRPに協賛しようということになりました。」

それでは、スープストックトーキョーはTRP開催期間にどのような具体的アクションを行ったのでしょうか?

そのアクションから導かれる企業のD&I推進に向けたヒントも含めて見ていきましょう。

 

“Soup for all”dayの開催

 

 

スープストックトーキョーでは、4/24-4/25にかけて“Soup for all”dayを開催しました。

通常販売しているセットなどの枠にとらわれず、好きなスープを好きなだけ選び、自分だけの「誰にも似てない」組み合わせを楽しむことができる取り組みです。

この2日間は定番・人気のスープに加え、数量や期間限定のスープを計12種類も展開し、その中には、全店での販売は初となる、ハラール対応のスープ「かぼちゃとココナッツのアジアンスープ」も含まれていました。(現在は一部店舗のみでの販売。)

スープを選んだお客様にはレインボーデザインの「#誰にも似てないカード」をお渡し、自分が選んだ組み合わせに自由に名前をつけ、楽しむことができる取り組みになっています。

 

 

「“Soup for all”day開催にいたるまで、自分たちの挙げたい声は何だろうかと社内でかなり議論をしました。以前よりLGBTQ+の理解促進を目指し、社内の人事制度など着手していましたが、ブランドとして何を世の中に発信したいのだろうというところが上手く言語化できていませんでした。」

と江澤さんと平田さんは“Soup for all”day開催までの苦労を打ち明けてくれました。

その中で今回の開催の決め手となったのが、スープストックトーキョーが創業時から使っている「誰にも似てない」という言葉だったそうです。

この「誰にも似てない」という言葉は、創業者である遠山正道さんがSoup Stock Tokyo1号店のオープンの際に使用した求人コピーです。

このコピーの元に個性豊かなメンバーが集まった経緯があり、スープストックトーキョー内では馴染みのある言葉になっています。

まさに企業の根底にある想いです。

「誰にも似てないブランドでありたいからこそ、働くメンバーも誰にも似てない人の集まりでありたいという想いから、当時、この求人コピーを使っていました。個性豊かな一人ひとりが自分ごととして仕事と向き合い、自分らしさを存分に発揮することで新たな価値を生み出す。そんな想いを込めた「誰にも似てない」という言葉とTRPの理念が合致し、この声を挙げていくことに決めました。多様性こそが価値の源泉だと考えているので、その想いを発信できればと考えました。」

ブランドとして大切にしている言葉とTRPの理念がマッチしているからこそ、力強いメッセージを発信することができたようです。

 

お客様を巻き込もう

 

取材していて特に印象的だったのが、お客様の巻き込みを目指していた姿勢です。

「ブランドの声を店頭で発信するだけではなく、お客様と一緒になって何かをやることを目指しました。自分たちが一方的に声をあげるのではなく、偶然来たお客様にとっても何か考えるきっかけにしたかったからです。」

と江澤さんは、“Soup for all”dayをお客様参加型のイベントに仕立てた想いを明かしました。

お客様参加型にするため、店舗に来たお客様が必ず行う「注文」というアクションに着目し、「誰にも似てない」自分だけの組み合わせを楽しめる仕組みを作り上げていました。

実際にお客様からは好評を博し、事前に発信したnoteを通じて趣旨を理解したうえで来店したお客様や、当初の狙い通り偶然この取り組みに出会って多様性について考えるきっかけを持ったお客様など、数多くのお客様を巻き込んで“Soup for all”dayは開催されました。

 

 

飲食業界のD&Iをけん引する存在へ

 

“Soup for all”dayを開催し、D&Iを推進しているスープストックトーキョーですが、今後は更なるビジョンを見据えているようです。

江澤さん・平田さんは熱意ある声でこう語ってくれました。

「現在はプロジェクトごとに動いていますが、今後はダイバーシティに特化して動けるチームを、立場関係なく募って実施・発信していきたいです。そして人の多様性だけではなく、食の多様性の面でもベジタリアンメニューや嚥下食などまだまだやれることがあります。一人でも多くの方に「おいしい」を届けられるように、食の多様性にも引き続き向き合っていきたいと思っています。

また、早朝から夜遅くまで店舗営業時間が長いことや、社員だけでなく多くのアルバイトの仲間で人材構成をしているなど飲食業界ならではの働き方の難しさがあります。いくつもハードルはありますが、スープストックトーキョーが先駆者となって飲食業界のD&Iも進めていきたいと思います。」

 

スープストックトーキョーのD&I推進におけるポイント

 

TRP協賛への背景を伺うことで、スープストックトーキョーのD&I推進には以下のポイントがあることが分かりました。

 

①企業理念・価値観と推進したいD&I理念のマッチング

②D&I推進に向けた社内での活発な議論

③社外・第三者の巻き込み

 

今後D&I推進を行っていきたい企業にとっても、押さえておくべきポイントです。

食の多様性をきっかけに、様々なD&I推進を行っているスープストックトーキョー。

私もスープストックトーキョーから学んだことを胸に、アクションを起こしていきたいと思います。

 

取材・文: 秋田ゆかり
Reporting and Statement: yukariakita

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